愛に恋

    読んだり・見たり・聴いたり!

原田泰治ART BOX ふるさと日本百景

 
 原田泰治さんとはこんな絵を描く人です。
 
 
一度はどこかで見られたこともあると思うが、無くなりつつある日本の原風景を描くという点では故谷内六郎さんと共通したところがある。
唄でいうなら『ふるさと』というイメージでしょうか。
誰もが幼い頃の忘れ難い風景を胸に歳を取っていくわけだが、この人の絵を見ていると、無性に万感迫る懐かしさと共に帰り来ぬ日々の切なさが絵の隅々に潜んでいるようで涙腺が緩む。
 
本書はコンパクトな画集で古本屋で買ったが、しかしまた何故、先代は売ってしまったのか?
見ていて飽きのこないものだと思うのだが。
原田さんは信州の生まれ、この本では北海道から九州に至る田舎という田舎をスケッチしているが何故か大阪は1枚のみ。
 
それにしても幼き日に見た風景を訪ねるかのように現代人が忘れがちになっている自然の美しさを切り取り描く才能は素晴らし。
絵の特徴としては顔がない。
というか目、鼻、口などは書かない。
家並みも写実的ではなくどこが歪んでいる。
背景の山や地表などは楕円のような形をして、尚且つ侘しさを出している点などが郷愁を誘うのか。
 
季節に関係なく子供の遊びが明治以来、変わることのない時代だった頃がひどく懐かしく思う。
親が野良仕事をしている時に年長の子供が弟や妹を背に負ぶってあやす。
そんな光景を見ることはもうありませんね。
谷内六郎さんも原田泰治さんも昭和30年代頃までのことを懐かしがっておられるのでしょうか。
 
たまには心の中を「優しさ」という石鹸で洗ってみたくなるような画集でした。
 

ブログ村・参加しています。

ポチッ!していただければ嬉しいです♡ ☟