居眠り狂志郎の遅読の薦め

未だ休読日に至らず

硫黄島 栗林中将の最期 梯久美子

 
国の為 重きつとめを 果たし得で 矢弾尽き果て 散るぞ悲しき
 
栗林中将、さぞかし無念の辞世の句であったであろう。
子供に送った絵手紙や妻への手紙を読んだが実にきめ細やかな愛情の持ち主で、戦局の厳しい中、今後の妻子の行く末を一途に心配しいる。
米軍にその名を知られ、指揮官として将兵の陣頭に立つ中将と、夫として繰り返し家族を案じる気持ちを縷々、綴っている家庭人としての中将。
武人としての精神力が試される場面だ。
 
この本はそんな栗林の、ある説を論破するてめに書かれたような本で、巷間言われている二つの説とは。
 
・戦いが始まった後、二人の参謀を連れてアメリカ側に投降。
一名の米兵が師団司令部に迷い込み、栗林はその捕虜を連れて米軍指揮官と接触。
しかし、参謀たちが「日本軍に降伏交渉はありえません」と言って栗林兵団長を斬り殺し、その後、二人の参謀も刺し違えて自害した。
 
・栗林は敵上陸後一週間、ノイローゼ状態になり指揮権剥奪。
 
しかし、あの栗林中将に限ってそんなことがあり得るだろうかと当然疑念を抱く。
そこで著者は生存者をくまなく当たる。
栗林の最後は如何なものだったか論説している。
栗林の死を見届けたものは誰も生存していないが、生き残った300余名を率いて総攻撃を行う前、栗林最後の訓示を覚えていた人がいた。
 
「予が諸君より先に、戦陣に散ることがあっても、諸君の今日まで捧げた偉功は決して消えるものではない。いま日本は戦いに敗れたといえども、日本国民が諸君の忠君愛国の精神に燃え、諸君の勲功をたたえ、諸君の霊に対し涙して黙禱を捧げる日が、いつか来るであろう。安じて諸君は国に殉ずべし」
 
私としては栗林中将の言葉を信じたい。
それにしても硫黄島の戦闘は激しかった。
上陸までの74日間、一日も休まず艦砲射撃と空襲に見舞われる。
その中でひたすら堪え生き残っていること自体が不思議だ。
文字通り血で血を洗う死闘で太平洋戦争中、唯一、米側の死傷者が日本側を上回る激戦だった。
 
現在の硫黄島は一般人が立ち入ることが出来ない。
自衛隊の管理下にあり、今なお13000余の遺骨が帰ることなく洞窟の中で眠っている。
火炎放射器で焼かれ、ダイナマイトで洞窟の入り口を塞がれ死んでいった人たち。
日本人として決して忘れてはならない歴史、本当に彼等はよく戦った!
 

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