愛に恋

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家族はつらいよ 小路幸也

30年程前のことだが、名古屋駅近くのローソン店内でレジ前に並んでいた山田洋次監督に声を掛けたことがあった。
ほんの少し立ち話しだけだが、やはり相手が相手だけに印象深い。
だからというわけではないが、最近は頭痛、肩こり、樋口一葉じゃないが、肩のこる本ばかりを読んでいたのでたまにはソフトなものをと思って手に取った一冊がこれ。
山田監督原案で映画化された作品を小路幸也の小説で読んでみた。
戦前戦後の松竹映画の流れそのままのホームドラマというところか。
三世代住宅、平田家で起こる離婚と結婚の問題で揺れ動く切なくも心あたたまる家族の物語と映画の宣伝風に言うとこうなる。
45年連れ添った夫婦に訪れた離婚の危機と長女の離婚問題。
そして次男の結婚話しと同時進行的に話しを進めていく山田監督お得意の悲劇性のない筋書で、読むのに容易くまったく肩のこらない小説でだが、それだけにまた特別な感想もない。
文学ではなく脚本を小説化したまでの話し。
やはり山田監督は渥美清という役者を失ったことで、心のどこかに穴が開いてしまったのだろうか。
確かに埋めることの出来ない損失感は倍賞千恵子も同じ思いだろ