ここ最近、評伝やノンフィクションばかり読んでいるので、たまには毛色の違ったものをということで選んだ本だったが。
何でも本作は空前の大ベストセラー小説で、42言語に翻訳され250万部を売り上げた作品で映画の観客動員数も240万人。
ということで上下巻購入し、暫く棚に寝かせ、先日から読み始めたはいいが、これがなかなかそう簡単ではない。
風刺小説と銘打っていて確かにユーモア満載とも言えるが殆どの紙数をヒトラーの思想信条に費やされ、言うなれば『わが闘争』の現代版をこれでもかというぐらい読まされる。
2011年、ヒトラーはベルリンのとある空き地で66年ぶりに目覚めるところから幕開け。
ここは何処か?
今はいつだ?
近くの広場では少年がサッカーをしている。
まさしくヒトラーユーゲントに違いない。
そこへ現れたキヨスクの店長。
何処かこの辺でロケでもしているのかと尋ねる。
見るからにヒトラーそっくりな男。
話しも筋が通って理路整然。
しかし、妙に軍服が灯油臭い。
それもそのはず、ヒトラーの最期は自殺した後に灯油をまかれて燃やされたため。
そこで店主、とにかくその服をクリーニングに出して客寄せのため、少し店を手伝ってくれないかと頼む。
店主はあまりにも奇抜なこの男を気に入り友人のテレビ局関係者に紹介、ヒトラーは軍服をクリーニング店へ。
そこで見た看板には!
「電撃クリーニングサービス」
その後、テレビ局へ連れて行かれスタッフの前で演説ぶるが、それが堂に入って頗る面白い。
何しろテレビ関係者は彼をヒトラー似の芸人として見ているわけで、尚且つ雄弁で台本なしのアドリブで捲し立てる姿にすっかり魅了され筋金入りの芸人と見る。
しかし、当のヒトラーはいくら皆から褒められても、それが当然の如く振舞う。
何しろ、自分は正真正銘のヒトラーなのだからと。
物語はヒトラーが自分らしさを見せれば見せるほど素晴らしいコメディアンの出現として世間は受け入れていくのだが、その後は後編に続く。
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