愛に恋

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最高殊勲夫人 源氏鶏太

 
私の最近の読書傾向と言えば専らノンフィクションか伝記評伝の類。
推理小説やエンターテインメント系の本はあまり読まなくなってしまった。
ある面、堅苦しいったらありゃしない。
そこで閑話休題のように時折、手にするのがちくま文庫なのである。
まるで筑摩書房の営業戦略会議のカモにでもなったように獅子文六阿川弘之源氏鶏太を買い求めている。
 
10代の頃には目もくれなかった源氏鶏太
しかし、昭和30年代の大衆小説が殆ど絶版の憂き目に遭い入手出来なくなる、そこを狙ってか著作権の切れた本で勝負に出る、そう勘繰りたくなるのが筑摩書房なのだ。
確かにどれもこれも面白いが直ぐに忘れてしまう危うさが大衆小説たる所以なんだろうと思う。
 
ハラハラ・ドキドキと言えばサスペンスものだが大衆小説に必要なのはイライラ・カリカリではなかろうか。
その点ではこの小説の面白さは抜群で、内容は到って単純、主人公の二人が結婚するか否か、そこがイライラさせられて痛快至極。
 
主要登場人物は三つの家族。
一般サラリーマンで定年を間近に控えた野々宮夫婦と一男三女。
三姉妹は順に桃子、梨子、杏子。
 
三原商事の社長の息子が三兄弟で、一郎、二郎、三郎。
大島商事社長の一男一女、武久と富士子。
 
まず、野々宮家の長女桃子が三原商事の秘書として働き先代社長の死後、長男一郎の嫁になって社長夫人になる。
秘書の後釜には次女梨子が座り、やがて次男の二郎と結婚し専務夫人となる。
そこで社長夫人となった桃子が一計を案ずる。
三女杏子も三男三郎と結婚させてしまおうと。
 
しかし、野々宮の父は内心反対。
ただでさえ世間からは玉の輿と言われているのに尚且つ三女まで三原商事の息子と結婚させては如何にもバツが悪い。
肝心の三郎と杏子も姉の策略に乗ってなるものかとそれぞれ恋人を見つけようとする。
 
幸い三郎だけは大島商事に勤めており、その縁で大島家の令嬢との結婚話しもちらほら。
更に大島家の長男武久も三女杏子に求婚。
しかし、一郎と桃子は三郎を何とか三原商事に戻して会社と三原家の安泰を計りたい。
もし、杏子が武久と結婚すれば将来は大島商事社長夫人。
三郎が富士子と結婚すれば大島家の重役は約束されることに。
格の上では三原商事より大島商事の方が上。
 
だが、二女が結婚した後に三原商事の秘書に収まったのは又しても姉妹三女の杏子。
絶対に三原商事には戻らないと言い切る三郎。
周囲の再三の説得にも結婚に応じない三郎と杏子。
はたして二人は結婚するのだろうか。
三兄弟と三姉妹が繰り広げる結婚問答。
果たして結末や如何にというところですね。
 
余談だがこの『最高殊勲夫人』というタイトルはあまり内容と合致していないような気がするのだが。
 
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