愛に恋

    読んだり・見たり・聴いたり!

シルバー川柳

 
私は俳句や短歌は得意ではないが川柳の方はわりかし好きなタイプなのだ。
以前、江戸期に詠まれた『セクシー川柳』なる本も紹介したような気もするが、よく耳にする『サラリーマン川柳』なる男の悲哀を歌ったものを読んでいると、世の男性諸氏には大いに頷くことも多々あるのではないだろうか。
 
しかし、何故か『奥様川柳』というのをあまり聞かないが、これまた如何に。
やはり、男性の方が会社でも家庭でも時の経過と共に窓際に追いやられる率が高いということか?
そこで今回、私が選んだ一冊はずばり『シルバー川柳』
高齢化社会にあっては誰しも将来他人事では済まされない現実感漂う笑うに笑えない歌が載っているが、そこはやはり川柳ゆえについほくそ笑んでしまう。
何作か紹介したい。
 
・三時間 待って病名 「加齢です」
・二世帯を 建てたが息子に 嫁が来ぬ
・起きたけど 寝るまでとくに 用もなし
・目覚ましの ベルはまだかと 起きて待つ
・誕生日 ローソク吹いて 立ちくらみ
 
・お迎えは どこから来るのと 孫が聞く
・「いらっしゃい」 孫を迎えて 去る諭吉
・できました 老人会の 青年部
・なぁお前 はいてるパンツ 俺のだが
老いの恋 惚れるも惚(ぼ)けるも 同じ文字
 
・何回も 話したはずだが 「初耳だ!」
・デジカメは どんな亀かと 祖母が訊く
・いざ出陣 眼鏡補聴器 義歯携帯
・目薬を 差すのになぜか 口を開け
・手をつなぐ 昔はデート 今介護 
 
最後の川柳、これはしみじみ効いた!
 
アイドルの 還暦を見て 老いを知る
 
誰にとっても同年代のスターがいる。
しかし、スターと共にファンの高齢化も進み次第に減少傾向を辿る。
自分の老いと向かい合いながら、嘗ての面影が凍結された写真や映像を見て「メモリアル」な世界に生き続けることが老いというものなのか。
 
想い出は閉鎖社会の心の奥で生き続けている。
想い出の数が増えることが老いならば、その老いも大切にしたい。
生きている限り愉しみたいものだ。
最後に昔から私の好きの歌をひとつ。
 
歯は落ちて 耳に蝉鳴り 目はかすみ 頭に積もるは 老いの白雪
 
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