居眠り狂志郎の遅読の薦め

喰う寝る読むだけの素浪人です

初夜 イアン・マキューアン

 
実のところ、年間を通して何冊か読まなくてもいいような本を買ってしまう。
10ページほど読み進めるうちに「しまった」た思うのだが既に後の祭り。
今回の本も当初から嫌な予感がしていた。
小説でありながら殆ど会話らしきものがない。
会話の部分だけを合わせても5ページにも満たないだろう。
 
更にである。
「初夜」とは何ぞ!
よく見ると原題は『On Chesil Beach』とあるではないか。
つまりイングランド南部にあるチェシル・ビーチのことで、その海岸に建つホテルで新婚初夜を迎えようとしている二人のことを描いた物語だが、どうも邦題が気に入らない。
これではまるで『熱海の海岸』という日本の小説をイギリス人が英訳して『ファースト・ナイト』とでも訳したようなものではないか。
別に私はポルノ的なものを期待したわけではない。
解説にはこうある。
 
性の解放が叫ばれる直前の、一九六二年英国。結婚式を終えたばかりの二人は、まだベッドを共にしたことがなかった。初夜の興奮と歓喜。そして突然訪れた、決定的な不和。決して取り戻すことのできない遠い日の愛の手触りを、心理・会話・記憶・身体・風景の描写で浮き彫りにする、名匠マキューアンによる異色の恋愛小説。  
 
一体、初夜を迎える二人に何が起きたのかと思いつい買ってしまった。
物語はいきなりホテルで夕食を共にする場面から始まる。
隣の部屋にはベッドルーム。
新郎はいやが上にも期待が膨らみその時を想像する。
二人は一年前に知り合い、まだ22歳。
愛し合う二人だが、この一年間、肉体的な交渉は一度としてなく、遂にこの日を迎えたのである。
 
その目出度い今日のために新郎は敢えて自慰行為を1週間やめてこの日に臨んだ。
少ないながらも新郎は女性経験があったが新婦はまっさらの処女である。
だが、事はなかなか始まらない。
いや、読者のこちらは、それ以前に延々と二人の馴れ初めから新婦の両親の話しを回想という形で読まなければならない。
 
そして読者は何とかその場面に辿り着く。
くどいようだが二人は確かに愛し合っているのである。
がしかし、新婦は殊の外、ディープ・キッスを嫌っている。
新郎の舌が口に侵入するのを自らの舌で受け止めようとはしない。
寧ろ嫌悪感さえ覚えるようだ。
二人はベッドで横になる。
新郎は期待で胸が膨らみ歓喜が迸るが新婦の服を上手く脱がしきれない。
 
業を煮やした新郎は一端、ベッドを離れズボンを脱いで再びベッドに。
しかし、新婦はこの営みそのものを当初から嫌っていた。
そうとは知らず、新郎の手は新婦の下半身へと延びてくる。
新婦も仕方なしに新郎のぺ○スの中ほどを握った瞬間、興奮のあまり、あろうことか、新郎はイッテしまった。
まったく予想外にも体液は新婦の体にかかり、思わず悲鳴を上げて枕で新郎を叩き素早く衣服を着ると新婦は一目散にビーチへ飛び出した。
 
唖然とする新郎と大ショックな新婦。
つまり、結婚はしても性行為は避けたいと思っていたと、こういうわけか?
そんなバカな、という話しになってしまうが、それが現実的に本の中で起きるわけである。
その後、新郎は新婦を捜しに浜辺へ向かい、どういうことかと話しを訊こうとするが二人の話しは嚙み合わず、新婦はホテルに戻り、荷物を纏めて帰ってしまう。
そして数日後、新婦側から離婚手続きの書類が届く。
こんなことがあり得るだろうか。
アリエールなんて言っている場合じゃない。
 
そもそもこういう事は結婚前に話し合っておくべきではないのか。
性の解放が叫ばれる前の1962年のイギリスと言うが、私の世代ではよく解らない。
新婦は性に対し怯えと戸惑いを感じているのは理解できても、では、この先どうしようと思っていたのか。
他の人はどう思っているのかと調べてみると意外と好意的にこの本を捉えている人が多いようだが、そう言われると読解力が乏しいのかといつも落ち込む。
そう言えば昔、こんな夜に発射できないなんてという歌があったが発射の仕方がまずかったわけか。
それにしても、まあ酷い感想文になってしまった。
 

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