愛に恋

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腰痛に負けない体を無理せずつくる!! 毛ガニの腰伝説

「親族に癌や脳溢血で亡くなった方はいませんか」などという医者の話しはよく聞くが椎間板ヘルニアが遺伝するということは、ついぞ聞いたことがない。
父の晩年は、この椎間板ヘルニアに悩まされる日々だったが、よもや、そのヘルニアに息子である私も罹患しまうとは。
思い起こせば、首の頸椎を20歳の時に痛め、25歳で軽いぎっくり腰になって以来、実に長い付き合いとなっている。
 
サザンオールスターズパーカッショニストで毛ガニこと野沢秀行さんがヘルニアで一時期、バンド活動を休止していたことは知っているが、この程、その体験記を上梓して発売したので、同病相哀れむ心境で読んでみた。
発症したのは約30年前。
ツアーに参加出来ない苦しい胸の裡などを縷々述べているが良く理解出来る。
 
我々、素人では分らないことだが、サザンのメンバーも、みな還暦を迎え、サポートのミュージシャンも全員が50の峠を越えている。
例えば想像してみるといい。
カラオケに行って、3時間以上、30曲を動き周りながら歌い演奏するということを。
それも一日だけではなく、年末ライブなどでは4日間も歌わなくてはならない。
 
ましてやツアーなどに出たらどうなるか。
今の時代はどうか知らないが、昔のバンドは半年間も全国津々浦々回るなんていうこともザラだった。
有名になって音楽を生業にして生きて行きたいという気持ちはミュージシャンなら誰でも思うことだろうが、いざ、プロになってみるとどうだ。
長期のツアーでバンドメンバーやスタッフとホテル暮らし。
毎日毎日、同じ曲を演奏し風邪ひとつ引けない。
 
今日は体調が悪いから休ませてくれというわけにはいかないのである。
それに、いくらバンドメンバー間の仲がいいと言っても偶には機嫌の悪い時もある。
私ならとてもじゃないが、こんなことはやってられない。
ビートルズカーペンターズ、アバも言っているように、「もう、こんなことはうんざりだ」と言いたくなる。
 
野沢さんは言う。
 
「3時間以上のステージが終わると2キロは痩せる。勝手にシンドバッドのような激し
 い曲だと心拍数が128まで上がる」
 
それにパーカッショニストは最初から最後まで立ちっ放し。
勿論、ドラム、キーボード、ギター、ブラスと普通の中年ならまず出来なかろうに。
少し話しが横道に逸れたが、野沢さんのヘルニアは私のとは違い、桁外れの激痛を伴うものだったらしい。
 
以前、心筋梗塞で入院した折り、隣のベッドに重度のヘルニア患者が居たが。
本来、病室は違うはずなのだが空き部屋が無いということで移ってきたらしい。
その男性、年齢は40歳ぐらいで、既に何度もギックリ腰に見舞われているらしく、寝起きもままなず、食事も看護師に食べさせてもらっていたが、最大の問題は排便。
だが、その人は慣れたもので平気でオムツに用便を足し、看護師に取り替えてもらい、更に便の出具合について会話まで交わしていた。
私には到底それが出来い。
野沢さんも書いている。
 
「ただでさえ弱くなっている入院患者の心に、排泄のストレスは重くのしかかってき
 ます。人間の尊厳が損なわれるような惨めな気分に落ち込んでしまった」
「こういう事態が起こるっていうことは特に聞かされていませんでした」
 
そうなんですよね。
循環器系でもオムツを付けるので私も念のために看護師に訊いてみました。
 
「便をしたくなったらどうしたらいいのですか?」
 
すると、まだ20代と思われる看護師の答えは予期したように。
 
「そのまま、オムツの中でして下さい」
 
まあ、それを聞いた時は、はっきり言って泣けてきましたね。
とてもじゃないけど、そんなことは出来ないと。
しかし、体力がないから駄目だと言うんです。
結局、5日間我慢して自分でトイレに行きましたが、野沢さんは母親に来てもらったとあります。
更に、最大の不安は再発の危惧、野沢さんは96年に発症して、03年に再発。
この再発の恐れというのが精神を蝕むんですね。
うつ病の一歩手前だったと」言っている。
 
苦しい局面ですね!
ツアーを休むわけにはいかない。
自分の居場所がなくなってしまうという焦り。
こうなってくると、もうダメです。
負のスパイラルに落ち込んで行く一方。
体力も気力もなくし、他のメンバーから置いていかれる不安。
 
そこで、一念発起した野沢さんはプロのトレーナーを雇い、一から徹頭徹尾、体を作り直していくという地道な作業を二人三脚で取り組むことに。
それはもう微に入り細を穿ち、食事や水分の摂り方、トレーニング、演奏方法まで事細かく相談して努力、ツアーの時は朝から何をどう食べたらいいのか、徹底して取り組んだそうで。
今では40本近いコルセット、ステージで使う専用のマット、靴はオーダーメイド
上から下まで全て腰痛ファッションで統一し、全国の温泉を巡り、一時は温泉ソムリエの資格を取ろうかと真剣に考えていたぐらいの温泉通になったとか。
 
とにかくプロである以上「今日はちょっと調子が悪かったけれど、明日は頑張るからさ」なんていう甘えは通用しない。
腰痛を治すために、ジョギング、登山、温泉と体力作りの毎日。
プロの世界で生きていくことの厳しさはかなりキツイものですね。
朝から晩まで腰と相談している毎日だそうです。
 

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