長野主膳、島田左近と言っても今日では知る人も少ない。
その、井伊直弼との関係では外せない人物、それが村山たか女だ。
女性ということで命までは取られなかったが三条河原に三日三晩晒され、身代わりに息子が岡田以蔵に殺される。
その後、洛外一乗寺の金福寺で出家したらしいが、その所縁の寺に行って来た。
記録によると明治九年に亡くなったとあるが、大老暗殺の一報を聞いた時の衝撃は如何ばかりであったろうか。
あの岡田以蔵に捕まっては生きた心地がしなかったろうに。
しかし、侘しい寺の佇まいで維新後の九年間、どのような気持ちで生活していたのか。
幕末史の遠い闇の中に微かに浮かぶ村山たか女。
知って嬉しい金福寺への旅だった。