居眠り狂志郎の遅読の薦め

喰う寝る読むだけの素浪人です

君の膵臓をたべたい

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テレビ欄や本の帯などで最近よく目にする「必ず」というフレーズ。
曰く。
 
「必ず泣ける本」
「必ず泣ける映画」
「必ず泣ける曲」
 
そう聞いただけで引いてしまうのは年齢の所為なのか性格なのか。
私は、この歳になるまで小説で泣いたことは3回しかない。
その事始めは『二十四の瞳』だった。
バスの最後尾に座っていたからいいようなものを、まあ泣けて泣けて、あれは確か17歳の時だったと思う。
 
偶然、この本の主人公と同じ年齢だ!
 
しかし、その『二十四の瞳』との出会いが今だったら同じように泣けるだろうか。
果たして自信が持てない。
それほど、人生、垢に塗れ純粋性を失ってしまったと言うべきか。
言い訳がましいが、これは、成長の課程で止むを得ないことなのだと思っている。
 
序に書けば、笑いが止まらなかった小説がたった1冊ある。
筒井康隆の『笑うな』という短編集で、これは地下鉄の中で読んでいた。
想像してみるがいい。
一人、乗車中の青年が必死に笑いを嚙み殺している場面を。
馬鹿である!
 
さてと、今回の本はある意味新鮮であった。
日頃は評伝、日記、ノンフィクションの類ばかりで漢字の多さにはウンザリ状態。
では、漢字の少ない本を選んで買ったのかといえば、さに非ず。
話題の小説は文庫化されたのを待って、交通費のかからない近くの古書店で買うことに最近決めた。
そして網に引っ掛かたのが『君の膵臓をたべたい』なのだが、何でも先日見た新聞広告には累計180万部売れているとあったが。
 
とは言うものの自分には縁のない本だと思っていたが、思いもかけず文庫化されたものを古書店で見つけ、つい買ってしまった。
まあ、簡単に言えば高校生のラブ・ロマンス。
それも相手の女高生が不治の病となれば映画化確実の既定路線。
しかし、私もさすがにこの歳になってくると、どうしても選考委員のような上から目線で読んでしまい、おこがましいのは重々承知なのだが、これも致し方ないこと故、お許し願いたい。
 
高2の男子学生の立場に立って書くのは難しくはないかと慮ってしまうのだが。
読み手としては少年の心理や言動が思春期目線で書かれているかどうかに拘ってしまうわけで。
あまりにも大人びた会話、または思考はないかなどだが。
以下の場面などはどうだろう。
二人が親に嘘を付いて一泊の旅行でホテルに泊まる。
 
服を脱いでシャワーを浴びた。頭を洗って体を洗い、湯船に溜まっていた湯に浸かった。彼女の言う通り、ジャグジー機能を発動させると、得も言われる幸福感に包まれた。
 
どう思われるか?
 
「得も言われる幸福感に包まれた」
 
果たして17歳の少年が、こんな事を言うだろうか。
分かります解ります、それを言っちゃおしめえよ。
私のあまりに大人ぶった物言い。
たかが小説じゃねえか。
そうです、そうです、そうですとも!
ところで、参考程度に書いておくが帯には感想としてこんな文字が躍る。
 
「ラストは涙涙涙」
「この作品を読まないなんて、もったいないよ!」
「ボロボロ泣きました。二度読みして欲しい」
「日々を大切に生きていこう」
 
そして・・・!
 
大ベストセラー小説
圧倒的デビュー作に絶賛の声、続々!!
 
ストーリーはというと。
 
4月のある日、病院のロビー。
ソファに1冊の本が置き忘れてあるのを小説好きの主人公、僕が発見して手に取る。
カバーを外すと、「共病文庫」という手書きの文字。
それは桜良というクラスメイトの日記で著者は膵臓の病気で余命僅か1年。
クラス1、目立つ女生徒とクラス1、目立たない男子生徒の偶然の出会いから、友達以上恋人未満までに関係は発展。
そして予想外の死。
 
二人の関係は1年を待たず、4か月で突然のエンディング。
このあまりの呆気ない意外性には少し強引な手法を感じてしまうがどうだろう!
死期の迫る桜良の明るさにも始終落ち着いた性格を見せる僕にも、それなりの好感は持つが、しかしやはり、この手の本は同世代や、せめて20代のうちに読むことがベストかと思う。
いや、あまりにも辛口の点数だが、これも歳を取った証拠とも言える。
お許しあれ!
 
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