愛に恋

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本日は、お日柄もよく 原田マハ

昨今、よく聞かれるところの「お涙頂戴」ありきのキャッチコピーは、どうも違和感を覚える。
「涙腺崩壊」「号泣」「涙がとまらない」
まあ、それはいいとして今回の本、最近、よく聞く作家名なので、どんな本を書く人かと一読してみたのだが、『本日は、お日柄もよく』というタイトルはともかくとして、やはり帯にこんなフレーズが。
 
「何度も泣きました!!」
 
私の感性が鈍いのかどこに泣ける要素があるのか解らなかった。
少し言い過ぎで悪いがこんなので泣いていたら文学は涙の洪水になってしまう。
感性は人それぞれと言ってしまえば、それまでだが。
どんな芸術にしろ作家が鑑賞者から涙の一滴を絞り出す為に日々、精魂を傾けて作品を作っているとしたなら、それは制作の課程が少し違うような気がする。
創作ものにおいて感性が大きく揺さぶられ、それこそ涙腺が崩壊するような状態というのは早々あるものではないと思っている。
 
確かに感動する作品に出合うことは多々ある。
しかし、「何度も泣きました!!」というのはどうか!
 
解説には以下のようにある。
 
お気楽なOL、二ノ宮こと葉は、密かに片思いしていた幼なじみ・今川厚志の結婚披露宴で、すばらしいスピーチに出会い、思わず感動、涙する。伝説のスピーチライター・久遠久美の祝辞だった。衝撃を受けたこと葉は、久美に弟子入り、「言葉」の修行を始める。成長したこと葉は、父の遺志を継いで初めて衆議院選に立つ、厚志の選挙を手伝うことになるが……!? 人と人とを結び合う言葉の限りない可能性をハートフルに描いた青春小説。
 
感動して涙した人には申し訳ないが、関心したのはジョルジュ・サンドのこの言葉。
 
「愛せよ、人生において、よきものはそれだけである」