居眠り狂志郎の遅読の薦め

喰う寝る読むだけの素浪人です

絵画・美術・写真

ジョン・アトキンソン・グリムショー

ラファエル前派のイギリス人画家だが、どうよこれ! この奥行き、雨上がりなのか薄っすらと靄がかかって街全体が湿気に包まれ陰鬱な感じがするが、目を逸らすことの出来ない写実性に魅入る。 しかし、この遠近法、どうしてこんな事が出来るのだろうか? 信じ…

ヤクブ・シッカネーダー

西洋画では処刑、殺人、拷問、磔刑など死を題材にした絵画は多いが、この絵はどう見ても飛び降り自殺だろう。 アパートの上から飛び降りたものと思われるが、さて問題は、この絵が単なる想像画なのか、実際、その現場に立ち会ったのか、住民に説明している人…

首尾の松

広重の第61景 「浅草川首尾の松御厩河岸」(安政三年八月 夏の部) 船で吉原へ向う遊客がこの松を見て今宵の首尾を語り合ったのが由来らしいが、はて? 「船で吉原へ向う遊客」 つまり、今から吉原へ向かう訳だ。 最近では「首尾は上々」などという言葉もあ…

エドマンド・レイトン 休日(1900年)

世に絵画市場に於けるオークション価格ほど解からぬものはない。 ゴッホの「ひまわり」が58億円で落札された過去があるが、本人が存命なら、たった一枚の絵が売れただけで一生暮らしていけることになる。 生前には一枚しか売れなかったことを思うと、ゴッホ…

吾輩は猫画家である ルイス・ウェイン伝 南條竹則

文学作品で猫と言えばまず漱石、他に内田百間の『ノラや』萩原朔太郎の『猫町』なども有名だが、その漱石の『吾輩は猫である』の一説に以下のようなくだりがある。 「やがて下女が第二の絵葉書を持って来た。見ると活版で舶来の猫が四、五疋ずらりと行列して…

金山康喜

宮城まり子の本を読んでいる。 まだ、読了していないが気になったことがあるので書くことにした。 ある日のこと、出演中の日比谷芸術座から徒歩5分くらいの所にある画廊のウィンドウで見た絵の事が書かれている。 誰の個展かと確かめてみると金山康喜とある…

原田泰治ART BOX ふるさと日本百景

原田泰治さんとはこんな絵を描く人です。 http://www.taizi-artmuseum.jp/ 一度はどこかで見られたこともあると思うが、無くなりつつある日本の原風景を描くという点では故谷内六郎さんと共通したところがある。 唄でいうなら『ふるさと』というイメージでし…

ベルニーニ

ベルニーニは17世紀に活躍したバロック芸術の巨匠。 まあ、驚くべき天才児で「ベルニーニはローマのために生まれ、ローマはベルニーニのためにつくられた」と賞賛された程で古代遺跡が残る古き都ローマは彼の手によって、壮大なスケール、絢爛豪華な装飾にあ…

ゴッホとロートレック 嘉門安雄

ロック界には昔から「27クラブ」というのがあるが、画壇には「37クラブ」というのがあるのだろうか。 ラファエルロ、カラヴァジョ、ヴァトー、ゴッホ、ロートレック、モディリアーニ、そして日本では菱田春草、今村紫紅。 モディリアーニと今村紫紅の36歳を…

春画にみる色恋の場所 白倉敬彦

江戸期という時代は現在のように住環境が整っていないためか、色恋に関しかなり抵抗感がなかったように思われる。 開けっ広げとまでは言わないが性風俗にはかなり寛容だ。 誘うのはいつも男とは限らず大店の女将などは奉公人などを捕まえては楽しんでいた。 …

佐伯祐三の晩年 衝撃の真実 白矢勝一

本書は佐伯祐三の伝記本ではなく、歿後、佐伯と共にフランスで過ごした友人たちが佐伯の死をどう書き残したかを照合し、何が真実なのかを追及した眼科医の論文のような本になっている。 『衝撃の真実』なんていう陳腐なタイトルは嫌いだが、いったい佐伯祐三…

アンドリュー・ワイエス~海からの風

詩は最高の芸術だと言った人がいるが、本当に言の葉を紡ぐということは難しい。 その変わり私が体得した方法は言葉を忘れるという感情。 www.youtube.com これは絵画であって写真ではない。 信じられない! そう、最高の芸術の持つ奥深い神秘は、いつも信じ…

クリムト―世紀末の美 講談社文庫―文庫ギャラリー

1860年生まれの作曲家、グスタフ・マーラーと1862年生まれの画家、グスタフ・クリムト、その両者と深い関係になり、結果的にマーラーと結婚した女性がアルマ・シントラー。 と言っても私はまったくこの女性を知らない。 クリムトと言えば絢爛豪華な金粉作り…

カミーユ・クローデル 極限の愛を生きて 湯原かの子

昨今、不倫、浮気、ゲスだと世の中はかまびすしいが何も不倫は今に始まったことではないことぐらい誰もが承知している。 ヨーロッパでは王侯貴族でさえゲスなる不倫は珍しくもなく、ましてやハリウッドでは不倫がないほうが珍現象でさえある。 ただひとつ、…

劉生の死

劉生日記は有名だが、今日、この本の存在は殆ど忘れ去られたかのようだ。 以前から、購入の機会を伺っていたが、私の知り得る限り大阪でこの本を置いている古書店はたったの一軒。 しかし、それよりAmazon価格の方が安かったのでまずは手に入れ良しとした。…

悲劇の9日女王 ジェーン・グレイ  桐生操

近年、日本でも俄かに脚光を浴びるようになって来た一枚の絵。 それが、この本の表紙しになっている。 『レディ・ジェーン・グレイの処刑』 以前から気になっていた絵画だが、最近、この絵は実在の物語を主題に書かれていると知ってインフルエンザも吹っ飛ぶ…

泥まみれの死 沢田教一ベトナム写真集

全世界に衝撃を与えたサイゴンのアメリカ大使館前で自らガソリンを被って焼身自殺したベトナム人僧侶の映像を見たことがある人も多いと思うが、調べてみると、あの日は1963年6月11日だったとか。 時は南ベトナム初代大統領ゴ・ディン・ジエム政権下。 独裁国…

女たちが変えたピカソ 木島俊介

ブックオフで見つけ、タイトルに惹かれて買ってしまったが、当初、ピカソ絵画の変遷と愛憎入り混じった男女劇みたいなものを想像していたのだが、主体はあくまでも画法であって人物に非ず。 例えばこんな記述。 愛はいつ時を占めるのか。時はいつ美となるの…

村山槐多全集

そもそも画家村山槐多を知っている人など見たこともないが、私自身、彼の名を初めて知ったのは平成25年、入院先の病床の上だったような気がするが、さて、それすらも定かではなくなった。 健診、食事以外、さしてやる事の無い退屈病に罹っていた私は病床でも…

藤田嗣治 本のしごと 林洋子

本来、美術や絵画には門外漢の私がこんな本を読んでもあまり意味がないのだが、古書市で見つけ、勢いで買ってしまった。 藤田の80年を超える生涯で、日本やフランスなどで関わった書籍、雑誌を対象に表紙絵や挿絵、新たに公開された旧蔵書、または国内の公共…

挿絵画家の鬼才 岩田専太郎

昭和期の挿絵画家の最高峰にして天才と言えば、まず岩田専太郎だろう。 今日、この平成の世にあっては彼のような画法を見ることは全く無くなってしまったが、それだけに去って久しい昭和の郷愁を呼び起こす。 親の才能を引き継いだわけでもなく、ましてや遺…

もっと知りたい ミュシャの世界

私にとって好奇心の対象となる人物、それは、何を残したかというよりは、どう生きたかという方に重点が置かれる。 そういう意味では大芸術家ゲーテも乞食行脚の辻潤も同列と考えている。 で、今回の対象者はアルフォンソ・ミュシャだが、この一見、男だか女…

黒の画家フランシスコ・ゴヤ ジュリア・ブラックバーン

私にとっては少し難しい本だった。 美術史は専門外だがゴヤが生きた時代には一方ならぬ興味がある。 スペインの独立戦争などをどう見ていたのか、ゴヤに付いてはもっと勉強したいという欲求が湧いてきたが果てさて今後どうするか。 ゴヤは47歳以降82歳で死ぬ…

ひろしま美術館 大沢寛三郎

私が美術の本を読んでいるからと言って、決して絵画に開眼した訳でもなんでもない。 まあ、簡単に言えば、ただ何となくといったところだ。 結局のところ、それほど他意があるわけでもなし、読み終わっても大抵の感想は「ふん・・・、なるほどね!」と言った…

世界史から「名画の謎」を解く 日本博学倶楽部

私にとって芸術とはシェフと料理の関係のようなものだ。 出された料理が美味ければ美味いほど、その料理人に対して興味が湧いて来る。 一体、どのような修行を積んで来たのか。 生い立ちは、人生は、そして何故死んだのかなど興味は尽きない。 芸術愛好家な…