愛に恋

    読んだり・見たり・聴いたり!

独逸・ナチス関連(読書録)

ドイツ人はなぜヒトラーを選んだのか—民主主義が死ぬ日 ベンジャミン・カーター・ヘット

ペリー来航の1853年から明治維新までの1868年の15年間、この幕末といわれる時代をドイツ人が勉強するとなるとかなり厄介で難しいと思う。武家、大名の名前のややこしさから、無数に出て来る人物。朝廷と幕藩体制の関わり方、目まぐるしく変わる政局など、日…

ベルリン終戦日記―ある女性の記録 アントニー・ビーヴァー

あらゆる本を読んでいてレイプほど汚辱に満ち卑劣な行為はない。私としては避けて通りたい分野だが、レイプ・オブ・南京だとか、レイプ・オブ・ベルリンという単語はよく見かける。ドイツの終戦間際、ベルリンで何が起きたかは想像に難くない。独ソ戦で、ソ…

フランス組曲 [新装版] イレーヌ・ネミロフスキー

もちろん初読みの作家でイレーヌ・ネミロフスキーと言われても誰ことやら分からないまま読んだが、著者は女性だったんですね。それも現代作家ではなく、すでに1942年7月、フランス軍憲兵によって拉致されて以来、消息を絶ったままアウシュビッツで殺害されて…

若し、ナチスドイツが勝利していたら

アウシュヴィッツに送られるのか、もう絶望的な気持ちだろう。 女、子供ばかりだが何ら抵抗することなく羊の如く追い立てられガス室に向かうのか。 若し、ナチスドイツが勝利していたら、ヨーロッパ大陸からユダヤ人は一切居なくなるという日が来たわけだ。 …

レーナの日記 エレーナ・ムーヒナ

この日記はレニングラード包囲戦で市民250万もの人が飢餓と酷寒の中、必死に生き延びようとする記録で、その一人、僅か16歳の少女が書き残したものだ。 包囲された期間は872日、餓死者80万、爆撃、砲撃による死者20万、その封鎖下の市民生活の模様を詳細に伝…

ドイツの悲劇  マイネッケ

この本を古本市で買った時は、殆どナメてかかっていたことを反省する。 近年読んだ本の中ではずば抜けて難しかった。 ビスマルクからワイマールを経て、ヒンデンブルク、ヒトラーへの道筋に於けるドイツ社会学で、著者はヒトラーより年上の同時代を生きた著…

サラの鍵  タチアナ・ド ロネ

久しぶりに面白い小説に出会った。 というかいい本だった。 小説と言っても事実を踏まえた上での物語だが。 時は1942年7月16日から17日かけてドイツ占領下のパリ。 知っての通り、降伏文書に署名したフランスは、ペタン元帥を首班とするヴィシー政府と、ドイ…

脱出 1940夏・パリ ハンナ・ダイアモンド

先ず、第二次大戦の発端は、ドイツが東プロイセンへの通行路ポーランド回廊および国際連盟管理下の自由都市ダンツィヒの回復を要求したこと始まるんですよね。 そして1939年9月1日、先端の火蓋は切って降ろされる。 9月3日、イギリスとフランスはドイツに宣…

ワルシャワ蜂起 1944(上・下巻)

第二次大戦は自由都市ダンツィヒのドイツへの編入要求と、ポーランド回廊を通過し、東プロイセンとドイツ本土を結ぶ治外法権の道路建設の要求を強めたドイツに対し、ポーランド政府が要求を拒否。ここに大戦の火蓋は切って落とされたわけだが、両国の死者は…

ワルシャワ蜂起1944(上): 英雄の戦い

第二次大戦は自由都市ダンツィヒのドイツへの編入要求と、ポーランド回廊を通過し東プロイセンとドイツ本土を結ぶ治外法権の道路建設の要求を強めたドイツに対し、ポーランド政府は要求を拒否。 ここに大戦の火ぶたは切って落とされたわけだが、両国の死者は…

アウシュビッツの歯科医 ベンジャミン・ジェイコブス

1944年 春 歴史というものは、いくら勉強しても実態が伴わない以上、そうか分かったとは言いにくい。 エルアラメイン、レニングラード、硫黄島、インパール、ペリリュー島、ガダルカナル島、こんなところは読めば読むほど行きたくない。 彼らはどんな気持ち…

諏訪根自子

凄い写真ですね! 1942年2月22日、ゲッペルスからストラディヴァリウスを送られる23歳の天才バイオリニスト諏訪根自子です。 二人の間に見える日本人は、後にA級戦犯になったドイツ特命全権大使の大島浩中将だと思います。 諏訪根自子は平成24年、92歳で亡く…

歴史の証人 ホテル・リッツ (生と死、そして裏切り) ティラー・J・マッツェオ

1983年、Tacoという名前の怪しげなオランダ人が歌う『踊るリッツの夜』という曲がヒットしたことがあったがその後どうしているだろうか。 そのホテル・リッツに1997年8月、ダイアナ元皇太子妃が現れるわけで、生前最後の姿がビデオに残された。 その有名ホテ…

アイヒマン調書―ホロコーストを可能にした男 ヨッヘン・フォン・ラング,

さて、何をどう書こうか。 今回ばかりは中々良いイントロダクションが浮かばない。 数日悩んでパソコンに向かったが、どういう着地点になるか、まあとにかく始める。 よく、新聞でこんな記事を読む。 複数殺人者の量刑を巡る裁判で、事実認定そのものは争わ…

1918年最強ドイツ軍はなぜ敗れたのか 飯倉章

まず最初に表紙の写真を見てほしい。 上段左からヒンデンブルグ、右、モルトケ、下段左、ルーデンドルフ、右、ファルケンハイン、何とも厳めしい顔つきというか威厳に満ちている。 凡そ100年前の独逸軍人で欧州大戦ではモルトケ、ファルケンハイン、ヒンデン…

アウシュヴィッツ収容所 ルドルフ・ヘス

何年か前にNHKで放送された『トレブリンカ 発掘された死の収容所』という番組を確か録画してあったと思い、探していたら、そのDVDがあり安堵した。 トレブリンカとはワルシャワから北東約90kmに存在したユダヤ人絶滅収容所のひとつだが、証拠隠滅のためナチ…

バルト海の死闘 C.ドブスン

読書は格闘技だと言われるがまったくだ! 眠気、疲れに打ち勝ち、読んだら備忘録としてブログに書く。 しかしこれが時に難儀を極める。 果てさて、今日は、この壮大な物語をどのように書くか現段階では判然としないままだが、とにかく書き始めるとする。 か…

黙って行かせて ヘルガ・シュナイダー

ナチ戦犯の中でも取り分け悪名高い人物として有名な医師、ヨーゼフ・メンゲレは アウシュビッツ収容者から「死の天使」と言われ恐れられていたが戦後、忽然と姿を消す。 イスラエル諜報機関は必要にメンゲレを追うが、メンゲレは追跡を逃れ1979年、海水浴中…

ヒトラーの裁判官フライスラー ヘルムート・オルトナー

大体からして私にナチズムの法理論などが解るはずがない。 では、何故読むのか! そこに山を見つけたからである、などと言えばカッコいいが、それほど能力もない登山家だが欲だけは一丁前だから困る。 しかし、どんな山を登るにも体力は必要。 更に独学素人…