愛に恋

    読んだり・見たり・聴いたり!

歴史ノンフィクション(読書録)

ドナウよ、静かに流れよ  大崎善生

【ウィーン14日共同】ウィーン市警察当局者は14日、日本人の男性指揮者(33)と友人の芸術専攻の女子大生(19)の水死体がウィーン近郊のドナウ川で見つかったことを明らかにした。同市三区警察署のサムエリ法務部長らによると、市内のドナウ運河で指揮者が…

天使はブルースを歌う――横浜アウトサイド・ストーリー 山崎洋子

私にとって団塊の世代とはマルキストかヒッピーか、大別すればいずれか二つに属してしまう種族になってしまう。中学生の頃などは、何故、あの世代の人たちは機動隊とぶつかり合っているのか理解できなかった。革マル派、連合赤軍といっても、主義主張を理解…

少女たちの魔女狩り―マサチューセッツの冤罪事件 マリオン・L・スターキー

本題を前に少し調べてみたがアメリカ社会に於けるプロテスタントの割合は、1955年に70パーセントに達し、それが戦後はもっとも高い数字だったとある。では、戦前はどうだったのか。いや、新大陸発見後の経過を辿ると、そもそも先に渡ったのはカトリックだっ…

お盛んすぎる 江戸の男と女  永井義男

今の時代、まだ秘宝館なるものが全国にあるのかどうか、昔はテレビCMなどでも放映していたものだが、最近は専ら聞かなくなった。 確か昭和48年だったと思うが富士の五合目に行った帰り、富士五湖を見て、何処へやらの秘宝館に入った記憶がある。 初めてのこ…

憲兵は父を守らなかった

愛知県に小牧市なる所があるが、位置的には名古屋の北にあたり、特に観光名所になるようなものはない。 シンボルと言えば標高86mの小牧山ぐらいで、古くは織田信長がこの地に城を建て、信長の死後、覇権を巡り秀吉と家康によって争われた小牧・長久手の戦い…

機密費外交 なぜ日中戦争は避けられなかったのか 井上 寿一

何とも気の重たくなる本だ。 戦後、進駐軍が上陸する前に重要機密書類は陸軍省、参謀本部などで多く焼却されてしまったが、満州事変期の外交機密費の資料が残存していた、それを読めってか! 資料には在中国公館と本省の間の往復電報や機密費の領収書が収録…

ロマノフ家の最期 アンソニー サマーズ・トム マンゴールド

20世紀最大の謎のひとつ、ロマノフ王朝最後の皇帝ニコライ2世が革命政権によって銃殺された時、家族全員が殺害されたのかという疑問が長らく分からままになっていた。 理由は皇帝一家の遺体がその後、数十年間発見されなかったことにある。 中でも信憑性を持…

インディアスの破壊についての簡潔な報告 ラス・カサス

人間とはいったい何なのか? 韓非子のいう、 「君主と人民の利害は相反するゆえ、人民を法で規制すべきこと」 即ち法治国家こそ人類には必要な制度ではなかろうか。 つまり、荀子(じゅんし)の言うところの性悪説の立場を取っている。 人間の本性は悪なりと…

高橋お伝とエリート軍医たち 大橋義輝

歴史関連の本でよく見る「と言われている」とか「そう伝わっている」という記述はどういうことなのか、かねてから疑問に思っていた。 古代や中世の話しならともかく、近・現代史においては甚だ曖昧な表現だ。 歴史上の大問題として光秀謀反の真相、内匠頭松…

下山事件 最期の証言 柴田哲孝

さして能力のない私は時に買う本を侮ってしまうことがある。 何も珍しいことではなく、昔からよくあることで驚きもしないが、本書もその類で些か疲れた。 特務機関、亜細亜産業、キャノン機関、横浜、密貿易と、戦後、父が関連した事柄の多いことから興味を…

マタハリ  マッシモ・グリッランディ

私が最も忌み嫌う事件事故の中のひとつに文化財の焼失、又は破壊という行為がある。 勿論、故意によるものばかりではないので、残念と悔しがる以外にないが,、例えばこんな記事。 2013年10月19日夜、オランダ北部の町レーワルデンで、第1次世界大戦中の女ス…

東京震災記 田山花袋

古本屋でよく見かける光景で、細い通路の奥に番台みたいなものがあり、そこに店主が座り、比較的高価な本は、その店主の後ろの棚に並べてあることがある。 勿論、店主に頼まないと見せて貰えず、そもそも取れない所に置いてある。 必ず買うとは限らない本を…

GHQと戦った女 沢田美喜 青木冨貴子

著者の本を読むのはこれで二度目になる。 『731―石井四郎と細菌戦部隊の闇を暴く』を数年前に読んだが、とにかく徹底した調査力で、個人でここまで出来るのかと感心するほど凄い。 今回はどうなのか、因みに著者の住まいはブルックリンだとか。 本作を書き上…

昭和史発掘 石田検事の怪死 松本清張

う~ん、疲れそうな記事になりそうだ(汗 まず、この事件を語る上で当時の政治状況から話すのが得策かと思うので、そこから始めたい。 舞台は大正15年10月30日の東京。 この年は12月25日から昭和と改元。 政局は与党憲政会が若槻内閣の下、不安定ながらも舵…

マラーを殺した女 安達正勝

副題として『暗殺の天使シャルロット・コルデ』というタイトルがある。 端的に言えばこの絵が全てを象徴している。 ジャック=ルイ・ダヴィッド作『マラーの死』 殺害されているのはマラでもマーラーでもない。 フランス革命の指導者ジャン=ポール・マラー…

知られざる「吉田松陰伝」-『宝島』のスティ-ヴンスンがなぜ? よしだみどり

安政元年(1854)3月28日午前2時、吉田松陰とその従者、金子重輔はペリー艦隊の旗艦に小舟で接近、密航を企てたが甲板からは船員の、 「船から離れろ」 という支持。 二人は諦めず、舷側の梯子にしがみ付くが、船員らは上から長い棒で舟を突付き荷物と太刀を…

西郷隆盛の首を発見した男 大野敏明

政府軍が西郷ら数百人の立て篭もる城山に最後の総攻撃を仕掛けたのは明治10年9月24日午前4時。 既に西郷軍には、この日の総攻撃は通告されており日本史にも類例のみない悲痛な戦いの終焉が近づいていた。 そして戦闘開始、雨あられと銃弾が打ち込まれる中、…

天皇陛下の私生活: 1945年の昭和天皇 米窪明美

長い天皇家の歴史の中でも壬申の乱を除けばどうだろうか、信長時代の正親町天皇、足利尊氏と戦った後醍醐天皇、幕末の動乱に苦悩した孝明天皇、日清、日露を乗り切った明治天皇、そして天皇制すら危ぶまれ激動の時代を生きた昭和天皇。 しかし、国土が焦土と…

カチンの森 ポーランド指導階級の抹殺 ヴィクトル・ザスラフスキー

さてと、この難儀な本を何から書き始めたらいいのか実に悩ましい。 多少なり記憶も総動員して書くので不備な点があればご容赦願いたい。 まず大戦勃発の1939年といえば昭和14年になるが第一次近衛内閣退陣後、登場したのが枢密院議長などの経験者平沼騏一郎…

プリンス近衛殺人事件 V.A. アルハンゲリスキー

ソ連時代のノーベル文学賞作家ソルジェニーツィンの『収容所群島』を地でいくような本だ。 ポツダム宣言第九条には次のような項目がある。 「日本国軍隊は完全に武装を解除せられたる後、各自の家庭に復帰し平和的且生産的な生活を営む機会を得しめらるべし…

ルートヴィヒ2世 須永朝彦

『うたかたの戀』という映画を知っているだろうか。 1936年作品で主演は名優シャルル・ボワイエ。 1889年に起きたオーストリア=ハンガリー帝国の皇太子ルドルフと男爵令嬢マリー・フォン・ヴェッツェラ心中事件をモデルにした作品で、謎の多いこの事件につ…

甘粕正彦 乱心の曠野 佐野眞一

ペリー来航後、世間を騒がせ、または驚愕させた事件がどれほど起きたか知らないが、大正12年の甘粕事件ほど近代史上の謎を残した大事件も珍しい。 大逆事件で左翼勢力が一掃され、生き残った最後の大物、大杉栄と妻伊藤野枝、甥の橘宗一少年(6歳)が東京憲…

近衛文麿「黙」して死す 鳥居民

まったく論評に困る本を読んだものだ。 著者の本は初読みだが、かなり憶測でものを言っている。 勿論、私にその説を論破できるほどの学識などありはしないのだが、どの部分を取っても納得できる手応えがなかった。 天皇を護るためには木戸内府か近衛公のどち…

対馬丸 大城立裕

学童疎開船は非軍事の観点から戦闘行為には参加せず『戦時国際法』からいっても攻撃対象にはならないはずだった。 にも関わらず昭和19年8月22日22時23分、悪石島近海で敵潜水艦から3発の魚雷攻撃を受け海の藻屑となったが、この事件は国際法違反に問われる…

クラシックホテルが語る昭和史 山口由美

戦争で都市を爆撃する場合、代表する高級はテルは好き好んで爆撃しないという説があるそうだが本当だろうか。 そもそも空襲がなかった奈良ホテルや箱根の富士屋ホテル、軽井沢の万平ホテルはともかく横浜のニューグランドホテルが戦災に遭わなかったのは不思…

731 石井四郎と細菌戦部隊の闇を暴く 青木冨貴子

731部隊の人体実験に関する詳細は以前何かの本で読んだが、本書は人体実験を主題にしているのではなく著者が探し出した石井中将自筆ノートの解明を主題にしている。 千葉県の大地主だった石井家の繁栄と戦後の凋落、GHQとの取引で石井を含め731部隊関係者全…

東條英機 処刑の日―アメリカが天皇明仁に刻んだ「死の暗号」 猪瀬直樹

そうか、言われてみれば現在の天皇誕生日と東條大将以下七名の処刑日は同じ日なわけか。 他にGHQは新憲法施行日を昭和22年5月3日にしているが、それは一年前の東京裁判開廷日と同日。 A級戦犯28人を起訴した4月29日は天皇誕生日。 つまりアメリカ側の狙いは…

リリー・マルレーンを聴いたことがありますか 鈴木明

昭和45年といえば三島の自決と大阪万博の年だったがサミー・ディビス・ジュニア、セルジオ・メンデス、フィフス・ディメイション、マレーネ・ディートリッヒのライブ・ステーが万博ホールで行われていたなんて今回初めて知った。 はて、私が行ったのはいつだ…

英国王冠をかけた恋 渡邊みどり

1937年といえば風雲急を告げるヨーロッパで、翌年3月にはドイツがチェコを併合。 そんな中、ヒトラーを表敬訪問したのが先のイギリス国王ウィンザー公夫妻だが、公の真意はどこにあったのかよく解らぬ。 ひどくご満悦のヒトラーを現在も映像で見ることができ…

松井石根と南京事件の真実 早坂隆

う~ん、実に重いテーマの感想文を書くということは一介のブロガーとしては気が重く疲れる。 「歴史は繰り返さない。ただ、韻を踏むだけである」 という言葉があるそうだが私には解ったような解らないような。 まず単純に思うことはアメリカが行った大都市に…