居眠り狂志郎の遅読の薦め

喰う寝る読むだけの素浪人です

歴史ノンフィクション

松井石根と南京事件の真実 早坂隆

う~ん、実に重いテーマの感想文を書くということは一介のブロガーとしては気が重く疲れる。 「歴史は繰り返さない。ただ、韻を踏むだけである」 という言葉があるそうだが私には解ったような解らないような。 まず単純に思うことはアメリカが行った大都市に…

ヴァレンヌ逃亡 マリー・アントワネット 運命の24時間 中野京子

フランス革命勃発というのは1789年7月14日、バスティーユ監獄の襲撃を持って起こり、その後、ルイ16世とマリー・アントワネットは断頭台の露と直ぐに消えたわけではないんですね。 幕末維新には詳しい私ですがフランス革命からナポレオンの登場という混乱期…

明治のサーカス芸人はなぜロシアに消えたのか 大島幹雄

昔の日本ではサーカス芸人と言わず軽業師といったのだろうか。 既に幕末から明治初年頃には海外興行に出ていたらしい。 日本人の器用性がこの職業に向いていたのか特に露西亜では「ハラキリショー」などが熱狂的な歓迎を受けたとある。 しかしその後に起きた…

本郷菊富士ホテル 近藤富枝

本論に入る前に菊富士ホテルの経営者、羽根田幸之助は妻きくえとの間に20年間で12人の子を産み、その内3人は流産、成長した子供は三男六女。 長男で第四子生まれの冨士雄の結婚相手、延子が著者の実父の妹ということになる。 羽根田幸之助が岐阜に生まれたの…

犬たちの明治維新 ポチの誕生 仁科邦男

元より予想はしていたが膨大な参考文献の資料の引用などもあってかなり難しい本だ。 民俗学ならぬ犬俗学とでも言うような幕末以降、太平洋戦争に至るまでの犬たちが辿った悲劇を扱った本で知らないことずくめで勉強になった。 そもそも犬は江戸時代、ペット…

闇の女たち: 消えゆく日本人街娼の記録 松沢呉一

570頁もある大著で、はっきり言って何から書いていいのか分からない。 内容は2部構成で、第1部は「街娼インタビュー」第2部は「日本街娼史」からなるのだが著者が書きたかったのは純粋な日本人街娼が近年減りつつあるため、街娼の戦後史を残したかったとある…

チェ・ゲバラの遥かな旅 戸井十月

その昔、ジョン・フォード監督作品で『リオ・グランデの砦』という映画があったが往年の西部劇ファンならご存じかと思うが何しろ1950年作品と古い。 リオ・グランデとはスペイン語で大きな川を意味するが1967年10月8日、ゲバラはリオ・グランデのユーロ渓谷…

戒厳令下チリ潜入記―ある映画監督の冒険 G・ガルシア・マルケス

1973年9月11日のこの日、チリで起こった大事件のニュースを新聞で知った私は、その記事を切り抜いて長い間、保管していた。 それは合法的に政権の座に就いた社会主義のアジェンデ大統領がピノチェト将軍率いる軍部クーデターで崩壊し、全世界に衝撃を与えた…

波に夕陽の影もなく―海軍少佐竹内十次郎の生涯 佐木隆三

昭和23年に新聞連載された大佛次郎の作品に『帰郷』という小説がある。 今日では絶版本で古本屋でしかお目にかかれないが、その主役となった守屋恭吾なる人物が、今回の本のモデルで竹内十次郎海軍少佐という人物。 まったく予備知識がないままの読書で、予…

李香蘭の恋人 キネマと戦争 田村志津枝

私はテレビ・ショッピングや通販などで物を買うことはまずない。 どうしても現物を見ないと買えないタイプなのだが例外もある。 絶版本など、いくら古書店巡りをしても見つからない書籍はAmazonで購入しているが、これが時に失敗を招く。 例えばこの本『李香…

大川周明と狂気の残影 アメリカ人従軍精神科医とアジア主義者の軌跡と邂逅 ダニエル・ヤッフェ

30数年前のこと、近江の国、義仲寺にある芭蕉の墓を詣でたことがある。 芭蕉の弟子が詠んだという、「木曽殿と背中合わせの寒さかな」の由来通り、木曽義仲と芭蕉は向かい合うように眠っていた。 だからというわけではないが、今回の主役、大川周明は東京・…

狂うひと 「死の棘」の妻・島尾ミホ 梯久美子

最近、注目しているノンフィクション作家が二人いる。 『永山則夫 封印された鑑定記録』を書いた堀川恵子と『硫黄島 栗林中将の最期』の著者梯久美子で、堀川恵子には関連本として『死刑の基準 「永山裁判」が遺したもの』という作品があり、梯久美子には『…

東京ローズ ドウス昌代

私にとってローズと言えばジプシー・ローズと東京ローズ以外、まず思い浮かばない。 その東京ローズだが日系アメリカ人で戦時中、連合軍に対しラジオを通じ、何やら謀略放送めいたことをやっていたぐらいの浅い知識しかないが、ただ、東京ローズとは複数女性…

沖縄の島守 内務官僚かく戦えり 田村洋三

發 沖繩根據地隊司令官 宛 海軍次官 沖繩縣民斯ク戰ヘリ縣民ニ對シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ 自決を一週間後に控えた昭和20年6月6日夜、沖縄の海軍司令官大田実少将が海軍次官に宛てた電文は世界史にも類例を見ない悲痛な名文として名高いが、今日、太…

拙者は食えん! サムライ洋食事始 熊田忠雄

別に戦後の食糧難の時代に生まれたわけでないのだが、我が家は比較的貧乏な家柄。 その所為もあって私がトマト、納豆、フキなどを初めて食したのは小学校も5年になってからのこと。 特に驚いたのは納豆だった。 あまりの臭さに、これはウンコの類ではないか…

死刑執行人サンソン 国王ルイ十六世の首を刎ねた男 安達正勝

江戸時代、首切り浅右衛門といえば死刑執行人として、その名を現在に留めているが、代々、世襲制として山田家がその職に当たり、さしずめ今で言えば公務員ということになろうか。 では、アジア諸国やヨーロッパではどうなっていたのか、この職種ばかりは誰で…

ロンドン狂瀾 中路啓太

568頁もある弁当箱サイズの単行本、時間もかかり、かなり疲れた。 期待と意気込みだけではなかなか読み切れないので、義務感で突破するしかない。 通常、この問題は昭和前期の歴史として重要な課題なのだが、殆ど省略されて、一頁ほどで済まされることが多い…

「南京事件」を調査せよ 清水潔

好むと好まざるとに関わらず、結局、盧溝橋の一発が民族的対決を誘発してしまい、後世、おそらく永久に結論の出ない不毛の論争を招く結果になってしまった。 お隣の中国では「あった」と一貫していることが、我が国では結論が定まらないまま左右両陣営がいが…