時代小説

鶴屋南北の恋 領家高子

鶴屋南北、彼の作品ほど私の少年期を苦しめたものはない。 父の言う怪談が何のことか分からず「階段」がなぜ怖いのかと薦めらるまま見たのが奈落の一丁目。 真夏の夜の「四谷怪談」、これほど恐ろしい映画もなかった。 天下の二枚目、長谷川一夫演じる田宮伊…

ヒキコモリ漂流記完全版 山田ルイ53世

本作は大手出版社113人の投票によって『編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞作品賞』に輝いたとあるが、私としては、どうも納得がいかず異議というか疑義というか腑に落ちない。 著者を最近、あまり見かけないと思たら、こんな本を出版していると知って買って…

四十八人目の男 大佛次郎

晩年の父を偲ばせるものにNHKの大河ドラマがある。 日頃、戦争体験の話は元より歴史を語らせたら止まらなかった父だったが昭和39年の大河ドラマが『赤穂浪士』とあって、我が意を得たりとばかり日曜日を楽しみにするようになった。 しかし、古ぼけたアパート…

蜩ノ記 葉室麟

第146回直木賞受賞作、なるほど、清々しい感動小説でした。 武家言葉など身に染み入るようで、某(それがし)感服仕った次第であります、と言いたくなる見事な出来栄え。 拙者にとっては久々の時代小説。 以前、 藤沢周平原作の『蝉しぐれ』という映画を観た…

阿蘭陀西鶴 朝井まかて

「好色一代男」や「世間胸算用」などの浮世草子で知られる井原西鶴は松尾芭蕉、近松門左衛門と同時代人だったんですね。 俳諧師として、一昼夜に多数の句を吟ずる矢数俳諧を創始、2万3500句を休みなく発する興行を打ったこともあるとか。 本当ですか西鶴先生…

水戸黄門 天下の副編集長 月村了衛

古書探訪とは言い換えれば古本屋を定期的にパトロールするようなものだ。 何か、いい獲物はないかな。 とびっきりの獲物などはそう易々とは見つからないが、今日はこのぐらいで我慢しておくかというような代物は時に引っ掛かる。 勿論、手ぶらでの御帰還もあ…

あい 永遠に在り 高田郁

司馬遼太郎作品に『胡蝶の夢』という奥御医師・松本良順を描いた作品がある。 確か単行本で全5巻だったと思うが、登場人物の一人に関 寛斎なる蘭方医がいた。 がしかし、読後、何十年も経っているので内容は殆ど忘れてしまい、関 寛斎のことはすっかり失念い…

風草の道 橋廻り同心・平七郎控 藤原緋沙子

私にとって歴史小説作家と言えば司馬遼太郎、吉村昭、海音寺潮五郎で、時代小説作家は山本周五郎、池波正太郎、藤沢周平というところか。 テレビ、映画を問わず時代劇は昔から好きで『必殺仕事人』『大岡越前』『遠山の金さん』『鬼平犯科帳』などをよく見て…