居眠り狂志郎の遅読の薦め

未だ休読日に至らず

昭和戦史

東條英機の妻・勝子の生涯 佐藤早苗

映画『日本のいちばん長い日』は、取り分け私の好きな映画で、これまで何度も鑑賞しているが阿南陸相演じる三船敏郎は言うに及ばず、クーデターに参加した畑中少佐を演じた黒沢年男の演技も光っていた。 中でも見せ場は森近衛師団長殺害の場面だが蹶起失敗に…

インディアナポリス

映画『ジョーズ』を見た人も多いと思うが、あの中で漁師を演じるロバート・ショーが船内で他の二人に自分の経歴を話す場面がある。 大戦中、乗っていた船が日本軍の魚雷で沈められ、救助に来るまでの5日間、海面に浮きながら仲間がサメに襲われる話をする。 …

不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか 鴻上尚史

所謂、神風というのは海軍の第一回特攻隊『神風特別攻撃隊』から始まるのだが正式には「かみかぜ」ではなく「しんぷう」と読む。 対する陸軍の第一回特攻隊は万朶隊(ばんたたい)で海軍のゼロ戦と違い九九式双発軽爆撃機に800㌔の爆弾をくくりつけて体当た…

責任 ラバウルの将軍今村均 角田房子

押入れから古いノートを引っ張り出し、故角田房子氏の本を読んでいたのは、いつ頃だったか調べてみると以下のような順だった。 昭和61年 一死、大罪を謝す 63年 閔妃暗殺 甘粕大尉 平成元年 いっさい夢にござ候 責任 ラバウルの将軍今村均 約30年前後ほど前…

キスカ島 奇跡の撤退―木村昌福中将の生涯 将口泰浩

大戦中、良くも悪くも国内外に名を轟かした帝国陸海軍人は多い。 中でも私の嫌いな軍人と言えば辻 政信参謀と牟田口廉也中将。 牟田口中将はインパール作戦の失敗を受けて当然、割腹すべきであったと思うが戦後も生きながらえた。 辻参謀はどういうわけか戦…

「満州国」見聞記 リットン調査団同行記 ハインリッヒ・シュネー

本書はリットン報告書ではなく飽く迄も調査団のメンバーだったハインリッヒ・シュネーによる『満州国見聞記』で、正確に言えば満州、日本、中国、朝鮮、シベリア鉄道見聞記と言った方が適切かも知れない。 だが、肝心の『リットン報告書』を読んでないので調…

永田鉄山 昭和陸軍「運命の男」 早坂隆

その時代を体験しないものが読書によって歴史を理解しようとする。 それがいかに難しいことか体感させるような本だった。 今ではその名を知る人もあまり居なくなったかも知れぬが昭和の初期にはこのように言われた人だった。 「陸軍の至宝」「永田の前に永田…

永訣の朝 樺太に散った九人の逓信乙女 川嶋康男

そう言えばこの本を読んでいて長く忘れていた『氷雪の門』という映画のことを思い出した。 調べてみると1974年というからもう40年以上も前の映画になる。 即ち、昭和20年8月20日、実際に起きた事件の映画化というわけで、本書はその日、何が起きたのかを詳細…

湯河原襲撃 河野司

何につけ軍人に関するノンフィクションや伝記は時に気が重い。 この本も以前古本屋で買ったはいいが中々読む気にならず暫く放っておいた。 実に50年以上も前に発売されたもので初めて見た本だった。 私の所蔵本に、ニ・ニ六事件に関係した全青年将校らの手…

妻と飛んだ特攻兵 8・19満州、最後の特攻 豊田正義

人間、誰だって死にたくはない。 がしかし、時に命を懸けてでも守るべき事態が招来することもあり得る。 敢然とそれに立ち向かう勇気、この本は、そんな日本人を描いているように思う。 終戦後の8月19日、関東軍総司令部の命令でソ連軍に対し完全武装解除と…

真珠湾の不時着機 牛島秀彦

「九軍神」の話しを聞いたことがあるだろうか。 日米開戦の先陣を切って乗り込んだ5隻の特殊潜航艇。 真珠湾近郊で9人が戦死、それが「九軍神」として戦時中、高らかに祭り上げられたが潜航艇は2人乗り。 あとの一人はどうなったのか? その人物は捕虜第一号…

大日本帝国最後の四か月: 終戦内閣“懐刀”の証言 迫水久常

著者、迫水久常の名は今日、一般にはどれだけ知られているのか知らないが、終戦秘史をテーマにした本には欠くことのできない人物として広く認知されている。 鈴木内閣の内閣書記官長でいわゆる「玉音放送」を起草した人物の一人でもあり、時代の証言者として…

硫黄島 栗林中将の最期 梯久美子

国の為 重きつとめを 果たし得で 矢弾尽き果て 散るぞ悲しき 栗林中将、さぞかし無念の辞世の句であったであろう。 子供に送った絵手紙や妻への手紙を読んだが実にきめ細やかな愛情の持ち主で、戦局の厳しい中、今後の妻子の行く末を一途に心配しいる。 米軍…

チンチン電車と女学生 1945年8月6日・ヒロシマ 堀川恵子

毎年、8月になると必ずと言っていいほどNHKは戦争番組を特集する。 あの戦争を体験した多くの人を取材する中、良く聞くのが「生前、父は戦争の話しはあまりしたがらなかった」という証言だ。 しかし私の父は違った。 子供相手とは思えないほどの熱弁を振るっ…

私はその場に居た 戦艦「大和」副砲長が語る真実 海軍士官一〇二歳の生涯 深井俊之助

歴史を作る者、または変える者とは常に決断であると言っても過言ではない。 古くは日露開戦を控えて編成された連合艦隊司令長官は常備艦隊司令官であった、薩摩閥の日高壮之丞が、その任に当たるのが常道だったが、山本権兵衛海軍大臣は敢えて日高を更迭し舞…

看守が隠し撮っていた 巣鴨プリズン未公開フィルム

刑務所、拘置所、収容所などのイメージといえば、広大な敷地を高い塀で囲み、その上には鉄条網があり、監視塔で見張りの兵が銃を持って四六時中見張っている。 草はあっても樹木はなく、運動不足を解消するための小さな運動場、または散歩コースがある程度で…

時代の一面 大戦外交の手記 東郷茂徳

日本人にとって著名な外務大臣といえばいつの時代でも陸奥宗光と小村寿太郎ということになるのだろうか。 中学の歴史教育でも確か、この二人しか習った記憶がない。 いずれも戦勝国日本の外相ということで殊更にクローズアップされていると思うが、明治以来…

泡沫の35年―日米交渉秘史 来栖三郎

故事に「勝家の甕わり」という言葉があるが、日本人は昔から坐して死ぬより討って出るのを潔しとする習性があるのだろうか。 例えば浅井長政は籠城せずに果敢に討って出たし、石田三成は家康が上杉攻めで大坂を留守にした間を狙って挙兵した。 真田幸村は凡…

インパール作戦従軍記 一新聞記者の回想 丸山静雄

第二次大戦の三大決戦と言えば、エル・アラメインの戦い、スターリングラード攻防戦、硫黄島の戦いとなるが、どれもこれもうんざりだ。 ロンメルとモントゴメリーが北アフリカで雌雄を決したエル・アラメインの戦いは灼熱の砂漠で激闘、両軍を悩ませたのは蠅…

流れる星は生きている 藤原てい

物語は、何の脈絡もなく突然、昭和20年8月9日夜10時半頃から始まる。 ドアを激しく叩く音で起きた藤原夫婦。 「藤原さん、藤原さん、観象台の者です」 夫と二人でドアを開けると。 「あ、藤原さんですか。すぐ役所へ来て下さい」 「一体何ですか」 「何だか…

ノモンハン秘史 新書版 辻政信

昭和陸軍に無数に存在したはずの将校団で、今日、その名を世に知らしめている軍人は意外と少ない。 東條大将を除けば、石原高級参謀と辻参謀の名は戦史に刻まれ永久に語られる人物として名高いものがあろう。 今回読んだ本の著者は、関東軍時代の辻政信が少…

慟哭の海 - 戦艦大和死闘の記録 能村次郎

以前、NHKの『その時歴史が動いた』で戦艦大和を扱った番組があったが、ゲストの半藤一利さんが、大和沈没の場面を見て。 「悲しくなりますね」 と言っていたのが印象深い。 本当に悲しくなる。 吉田満さんの名著『戦艦大和ノ最期』に有名な場面、兵学校出の…