居眠り狂志郎の遅読の薦め

喰う寝る読むだけの素浪人です

日記・手紙

太平洋航海記 キャプテン・クック

10年程前までは大規模な古本市へ行っても、さほど疲れを感じなかったものだが最近はどうも腰の具合が良くない所為もあってかじっくり陳列棚を見れなくなった。 それでも何故か、これという本はしっかり目に留まっているからおかしい。 『太平洋航海記』とあ…

夢二の恋文

詩人高村光太郎は千恵子ばかりを書き、萩原朔太郎は陋屋の中で隣り合う孤独に青ざめ、夢二は女に彩られた文章しか書かない。 そんな夢二が最も愛した女性はおそらく笠井彦乃だろう。 彦乃は細面の柳のような麗人で長髪、なで肩、理想のモデルでもあったよう…

辻潤の愛 小島キヨの生涯 倉橋健一

大正時代、新宿で中村屋というパン屋を営んでいたといえば相馬黒光夫妻のことだが、その相馬夫婦に支援を受けていた夭折の天才画家が中村彝(つね)である。 中村の代表作は盲目のロシア人を描いた『エロシェンコ像』だが、彼もまた相馬夫婦の支援を受けてい…

梨本宮伊都子妃の日記―皇族妃の見た明治・大正・昭和

久々に大阪天満にある天牛書店に足を運んでみた。 流石に大阪随一の古書店だけあっていつ行っても客は多い。 私が見るコーナーは毎度決まっていて文庫本全般、歴史、戦記、伝記、評伝、美術、映画、文壇史や日記といった類。 追い遣るように背表紙を見ていく…

アルフレッド・ドレフュス「獄中日記」

南米仏領ギニア・デヴィルズ島と聞いてピンときた! 映画『パピヨン』の舞台となった悪名高いあの島だ。 73年、スティーブ・マックイーン主演映画のラストシーンが蘇る。 ナポレオン3世の第二帝政期、政治犯を収容した悪魔島で、終身禁固刑のドレフュス大尉…

同日同刻―太平洋戦争開戦の一日と終戦の十五日 山田風太郎

あの日、あの時、何が起きたのか、各人各様の立場から記録に残った断片を繋ぎ止めて行く作業を地道に続けた結果が、この本ということだろうか。 少なくとも、この手の本を編むということは日本人としてどうしても知りたい事柄が私と一致しているとも言える。…

山下清の放浪日記

義務教育時代の九年間、どちらかと言えば落ちこぼれ的な存在だった私に幾ばくかの慰めと安らぎを与えたものは遠足と社会見学だった。 今一つに音楽鑑賞もある。 とにかく時間内に大人しく音楽を聴いているだけでいいのであるからして、これほど楽な授業もな…