外国文学

コレリ大尉のマンドリン ルイ・ド・ベルニエール

第二次世界大戦下、ドイツに降伏したギリシャはケファロニア島をドイツ、イタリア両軍に占領される。 しかし1943年9月、イタリアは連合軍と休戦協定に入り、ムソリーニは失脚して幽閉の身に、代わって登場したのがバドリオ内閣。 その後、イタリアの枢軸国離…

死刑囚最後の日 ヴィクトル・ユーゴー

以前、『死刑全書』という分厚い本を読んだことがある。 世界で行われてきた、死刑に関する実例書で、それはもう事細かに書かれていて、おぞましさに読むに耐えない本だ。 人類は極悪人に対し、または冤罪、魔女狩りにおいても、如何に苦痛を持続させる死に…

絞首台からのレポート ユリウス・フチーク

最近まで知らなかったが、著者、ユリウス・フチークという人はチェコでは英雄的な存在だとか。 本書も世界80カ国で翻訳され版を重ねる名著らしいが、嘗て一度もチェコ文学に接したことのない私は、重い腰を上げ読破に向け挑戦したはいいが、あまりの訳注の多…

脂肪のかたまり モーパッサン

モーパッサンの経歴についてはまったく無知だが、何でも1870年の普仏戦争に志願して従軍したらしい。 統一前のドイツなので普仏とはプロイセン対フランスのことだが、プロイセン側は鉄血宰相ビスマルクが主導し、フランスはナポレオン三世が陣頭指揮を執った…

グレート・ギャツビー スコット・フェッツジェラルド 村上春樹訳

正直なところ私は外国文学と四つに組むときは内心おっかなびっくりで、名作と誉れ高い本をもし理解出来なかったらどうしようと戦々恐々としている。 林扶美子は「翻訳とはチャーハンみたいなものかな」と言っているが、なるほど上手いことを言う。 例えば「…

フラニーとズーイ J.D.サリンジャー

おはようございます、一週間のご無沙汰でした。 約束どおり本日から再開いたしますので宜しくお願い致します。 何だか解ったような解らないようなという言葉をよく日本人は使うが、この小説はそういうたぐいの表現は適当ではない。 解らないながらもさっぱり…

ペスト カミュ

翻訳ものには相性があるのか、私の読解力がないのか情けないことによく理解できなかった。 文体に馴染めない歯がゆさを感じつつの読了。 故につまらなかったという感想を持ったときには必ず他人のレビューが気になる。 案の定、意に反して『異邦人』よりこ…

月と六ペンス サマセット・モーム

結局、モームは作中で「月と六ペンス」の意味について触れなかった。 これもまた珍しい。 タイトルが一度も出てこない! 解説者はこう読み解く。 「月は夜空に輝く美を、六ペンスは世俗の安っぽさを象徴しているのかもしれないし、月は狂気、六ペンスは日常…

パイド・パイパー 自由への越境 ネビル・シュート

パイド・パイパーと言えば民間伝承の『ハメルンの笛吹き男』を思い出される人も多いだろうが、この小説はそんなメルヘンチックなものではない。 欧州大戦の最中、イギリス空軍士官だった息子の死を機に憔悴の旅へと向かう70歳のハワード。 釣竿1本持ってフラ…

凍える墓 ハンナ・ケント

作者は28歳のオーストラリア人女性、史実を基にアイスランド史上最後の死刑囚の実話らしい。 アイスランド小説なるものを初めて読んだが、日本人にはあまり馴染みのない国で、地名や人名など実に読み辛い。 例えば処刑された2人の囚人はフリドリンク・ジグル…

あの日、パナマホテルで ジェイミー・フォード

戦前、シアトルのダウンタウン南端に賑やかな日本人街があったらしいが、物語は、その日本人街にあったパナマホテルの地下から40年以上も引き取り手のない荷物が発見されたことに端を発する。 真珠湾奇襲後の1942年、アメリカ政府は在留日系人、約12万人を逮…

移動祝祭日 ヘミングウェイ

1961年3月のある日、夫と共にアリゾナで休暇をすごしていたハドリー・モーラーなる女性のところに1本の電話がかかってきた。 声の主は34年前に別れた最初の夫、アーネスト・ヘミングウェイ。 そして彼はこのように切り出した。 「実はいま、君と暮らしたパリ…

帰ってきたヒトラー 下 ティムール・ヴェルメシュ

う~ん・・・、何と言うか! とにかく、この小説は読むより映画で見た方がいいと思う。 そう簡単な作品とは思えない。 600頁近い大作で全編、ヒトラーの独白と言っていい。 それも政治哲学的な話しが専ら。 現代に現れたヒトラーは徹底的に「オレ文脈」での…

帰ってきたヒトラー 上 ティムール・ヴェルメシュ

ここ最近、評伝やノンフィクションばかり読んでいるので、たまには毛色の違ったものをということで選んだ本だったが。 何でも本作は空前の大ベストセラー小説で、42言語に翻訳され250万部を売り上げた作品で映画の観客動員数も240万人。 ということで上下巻…

初夜 イアン・マキューアン

実のところ、年間を通して何冊か読まなくてもいいような本を買ってしまう。 10ページほど読み進めるうちに「しまった」た思うのだが既に後の祭り。 今回の本も当初から嫌な予感がしていた。 小説でありながら殆ど会話らしきものがない。 会話の部分だけを合…

ケス 鷹と少年 バリー・ハインズ

時に外国文学というのは、いくら絶賛されていても、どうした訳か私には何ら響かないことが多々ある。 偏に、読み手の私の技量不足と諦めているのだが、今回の本、1968年に出版されるとたちまちベストセラーになり、翌年に映画化され、これまた大評判になった…

幸せなひとりぼっち フレドリック・バックマン

外国文学を読むにあたって、一番の問題となるのは訳者との相性かと思う。 今回の本、スウェーデン文学らしいが、過去、スウェーデンの小説なんか読んだことがあったかどうか! 日本でも多くの人に読まれ映画化もされているらしいが、どうも私にとっては感動…