愛に恋

    読んだり・見たり・聴いたり!

事件・裁判(読書録)

肉声 宮﨑勤 30年目の取調室 安永英樹

その昔、NHK特集で『声』という番組を見たことがある。 あの「吉展ちゃん誘拐殺人事件」の犯人小原保と最後の岡っ引きと言われた名刑事・平塚八兵衛が交える取り調べの様子を録音したもので、生々しい二人の会話が聞こえるが決して暴力を用いるようなことは…

「子供を殺してください」という親たち 押川 剛

日本では殺人事件の約半数が家族間で起きるという話を聞いたことがある。 確かに日々のニュースを見ていると夫婦、親子、親族の間でトラブルが起きることが多い。 子供に殺される親、夫に殺される妻、本当に予想外の結末が待っているわけだ。 本書に書かれて…

命削る性愛の女 阿部定〈事件調書全文〉

この犯罪史上稀な怪事件は、どのように理解したらよいのだろうか。 事件の経緯は全て明らかになっているので、別に今更問題点もないが、やはり定の心理状態だけが腑に落ちない。 仮に、これぞ理想の相手と思しき男性に巡り会ったとする。 相手は家庭持ち。 …

誰がリンドバーグの息子を殺したか ルドヴィック・ケネディ

ジェームズ・スチュワート主演の『翼よ、あれがパリの灯だ』は有名な映画なので観た人も多かろう。 5月21日は「リンドバーグ翼の日」と言われているが、1927年5月20日の早朝7時52分、ニューヨークを飛び発ったスピリット・オブ・セントルイス号は、33時間30…

特高 今こそ私は言える 小坂慶助

昭和11年7月2日の夕刻であった。連日の酷暑に九段下の内堀から吹き込む涼風に、ホッと一息入れているところへ、代々木の陸軍刑務所長から電話が掛かってきた。 「麹町憲兵分隊の小坂曹長であります」 「私は刑務所長だが、実は相沢中佐が、どうしても、小坂…

狭山事件の真実 鎌田 彗

3か月ほど前、所要で大阪環状線京橋に行った時のこと、駅前広場で道行く人に向かってやおら演説している中年男性を見て、非常な違和感を持った。 男性の横には看板を持つ人、さらに横断幕を掲げる人など、いつもこの場所には何かと社会に向かって異を唱える…

湖の南 大津事件異聞 富岡多恵子

三井の晩鐘として有名な三井寺に行ったのは、はて、いつのことだったか? 40歳を幾つか手前の頃だったと思うが。 明治の20年代、ここには「御幸山西南戦争記念碑」という立派な石碑が立っていた。 何故、鹿児島から遠く離れたこの地に石碑があったかと言えば…

煉獄 女たちの虎ノ門事件 岩田 礼

よく思うことだが、ここ1世紀ぐらいの間、世間の耳目を集めた重大事件関係者の遺族などはその後、どのような人生を歩んだのか興味がある。 以前、NHKで珍しく大逆事件を扱った番組を採り上げていた。 全国で多数の人が逮捕され26人が起訴された大事件だが…

徳島ラジオ商殺し事件 渡辺倍夫

徳島ラジオ商殺し事件、何か聞いたことがあるような、ないような。 とにかく知らないことは一度読んでみようと思い、心に止めておいたところ、偶然にもブックオフで見つけて購入。 事件が起きたのは昭和28年11月5日午前5時頃というから、私はまだ生まれてな…

永山則夫 封印された鑑定記録 堀川恵子

子供の頃に世間を騒がせた大事件といえば、まず「吉展ちゃん誘拐殺人事件」だろう。 昭和38年3月のことで、連日の大ニュースで大人たちに混じって見ていた記憶がある。 以前、NHKスペシャルで「声~吉展ちゃん事件取り調べテープ~」という番組が放送され、…

津山三十人殺し 七十六年目の真実: 空前絶後の惨劇と抹殺された記録 石川清

横溝正史原作『八つ墓村』の映画化は過去3度あるらしいが、私が観たのは野村芳太郎監督、77年製作の松竹版。 戦時中、岡山に疎開していた横溝が地元の人から伝え聞いた過去の大事件をヒントに描かれた作品で、当時は横溝フェアーで映画も本も大ヒット。 犯罪…

デザートは死 尾崎秀実の菜譜 尾崎秀樹

戦前、沖縄出身の画家に宮城与徳という人が居た。 しかし昭和16年10月10日午前5時半、特高課員らによって自宅を急襲逮捕される。 容疑はスパイ諜報活動で、所謂、ゾルゲ事件の工作員として芋蔓式に逮捕されたひとりだが、宮城には持病があり健康を害していた…

袴田事件を裁いた男 尾形誠規

戦後に起きた重大事件に関しては大抵の場合、少しぐらいの予備知識があるのだが、この袴田事件については名称以外は全く何も知らなかった。 先日、冤罪事件として拘置所から釈放される袴田さんを見て、どのような事件だったのかと思っていた矢先、この本の出…

誰がリンドバーグの息子を殺したか ルドヴィック・ケネディ

ジェームズ・スチュワート主演の『翼よ、あれがパリの灯だ』は昔から有名な映画なので観た人も多かろう。 「リンドバーグ翼の日」というのは5月21日のことで1927年5月20日の早朝7時52分にニューヨークを飛び発ったスピリット・オブ・セントルイス号が、33時…

難波大助・虎ノ門事件―愛を求めたテロリスト 中原静子

読書といっても様々で、作家の文体に馴染めないような純文学、または策士、策を弄すのように調べ過ぎて読み手をひたすら混乱させるだけのノンフィクション。 時に、一体、何を読まされているのか解らなくるようの手法で辟易したり、微に入り細を穿って、ここ…

橋の上の「殺意」 畠山鈴香はどう裁かれたか 鎌田慧

結局、読了しても殺意があったのかどうか判然としないままだった。 この事件の不可解さは警察が事故死と断定した捜査を、母親鈴香が事故ではなく事件だと騒ぎ立てたことにある。 本人が加害者なら、警察が事故死として捜査終了したものを何ゆえ事件として再…

裁判記録「三島由紀夫事件」 伊達宗克

長い人生の中には、あの日、何処で何をしていた、という記憶に残る1日がある。 例えば昔の人なら終戦の日を鮮明に覚えていることだろう。 私の場合は昭和45年11月25日のこと、学校帰りに知り合いのお姉さんから声をかけられた。 「三島由紀夫が自殺したよ。…

心にナイフをしのばせて 奥野修司

「酒鬼薔薇」事件を溯ること28年前の昭和44年4月23日、神奈川県川崎市で起こった頭部切断事件。 被害者は私立高校の1年生。 加害者は同級生の少年で鋭利な刃物で全身47ヵ所をめった刺しにして殺害、事件の一部始終を見ていた人からの通報で少年Aはあえなく逮…

毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記 北原みのり

一般的に毒婦というと、まず思い浮かぶのは高橋お伝と阿部定ということになるか。 しかし最近、平成の毒婦と言われる女性が二人も登場した。 片や青酸カリを飲ませた連続殺人事件の筧千佐子容疑者、そしてこの木嶋佳苗。 婚活詐欺とでも言うのか短期間に複数…

誘拐 本田靖春

初版は1977年で、かなり昔の本になるが最近、ちくま文庫で復刊され、それを買って読んでみた。 吉展ちゃん事件扱った本で、私が物心ついた頃の、最も有名な大事件だった。 身代金目当ての誘拐殺害事件として残忍な犯罪だが、改心してからの犯人小原保を見て…

裁かれた命 死刑囚から届いた手紙 堀川恵子

子供の頃には全く書けなかった読書感想文をこうして毎回書いているが、プロの書き手でもない私には実のところ四苦八苦、悪戦苦闘である。 長からず短かからず、冒頭の書き出しからしていつも悩む。 まあ、余談はともかく本題だが、この本は新潮ドキュメント…

切断—ブラック・ダリア殺人事件の真実 ジョン・ギルモア

この事件に関しては映画化もされているらしいが私は見てない。 通称、ブラック・ダリア事件とは1947年1月15日、ロサンジェルスで女優志望のエリザベス・ショート(22)が激しい拷問の末、腰の辺りから胴体を真っ二つ切断、血を抜かれ、両脚を大きく広げたま…

死刑の基準 「永山裁判」が遺したもの 堀川恵子

私には、やや、分不相応な本だとも言える。 著者も言っているが当初、まったく売れなかったとか。 ところが第32回講談社ノンフィクション賞を受賞したことで事情が一変。 確かに優れたノンフィクション作家で、これまで『裁かれた命 死刑囚から届いた手紙』…