事件・裁判

デザートは死 尾崎秀実の菜譜 尾崎秀樹

戦前、沖縄出身の画家に宮城与徳という人が居た。 しかし昭和16年10月10日午前5時半、特高課員らによって自宅を急襲逮捕される。 容疑はスパイ諜報活動で、所謂、ゾルゲ事件の工作員として芋蔓式に逮捕されたひとりだが、宮城には持病があり健康を害していた…

袴田事件を裁いた男 尾形誠規

戦後に起きた重大事件に関しては大抵の場合、少しぐらいの予備知識があるのだが、この袴田事件については名称以外は全く何も知らなかった。 先日、冤罪事件として拘置所から釈放される袴田さんを見て、どのような事件だったのかと思っていた矢先、この本の出…

誰がリンドバーグの息子を殺したか ルドヴィック・ケネディ

ジェームズ・スチュワート主演の『翼よ、あれがパリの灯だ』は昔から有名な映画なので観た人も多かろう。 「リンドバーグ翼の日」というのは5月21日のことで1927年5月20日の早朝7時52分にニューヨークを飛び発ったスピリット・オブ・セントルイス号が、33時…

難波大助・虎ノ門事件―愛を求めたテロリスト 中原静子

読書といっても様々で、作家の文体に馴染めないような純文学、または策士、策を弄すのように調べ過ぎて読み手をひたすら混乱させるだけのノンフィクション。 時に、一体、何を読まされているのか解らなくるようの手法で辟易したり、微に入り細を穿って、ここ…

橋の上の「殺意」 畠山鈴香はどう裁かれたか 鎌田慧

結局、読了しても殺意があったのかどうか判然としないままだった。 この事件の不可解さは警察が事故死と断定した捜査を、母親鈴香が事故ではなく事件だと騒ぎ立てたことにある。 本人が加害者なら、警察が事故死として捜査終了したものを何ゆえ事件として再…

裁判記録「三島由紀夫事件」 伊達宗克

長い人生の中には、あの日、何処で何をしていた、という記憶に残る1日がある。 例えば昔の人なら終戦の日を鮮明に覚えていることだろう。 私の場合は昭和45年11月25日のこと、学校帰りに知り合いのお姉さんから声をかけられた。 「三島由紀夫が自殺したよ。…

心にナイフをしのばせて 奥野修司

「酒鬼薔薇」事件を溯ること28年前の昭和44年4月23日、神奈川県川崎市で起こった頭部切断事件。 被害者は私立高校の1年生。 加害者は同級生の少年で鋭利な刃物で全身47ヵ所をめった刺しにして殺害、事件の一部始終を見ていた人からの通報で少年Aはあえなく逮…

毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記 北原みのり

一般的に毒婦というと、まず思い浮かぶのは高橋お伝と阿部定ということになるか。 しかし最近、平成の毒婦と言われる女性が二人も登場した。 片や青酸カリを飲ませた連続殺人事件の筧千佐子容疑者、そしてこの木嶋佳苗。 婚活詐欺とでも言うのか短期間に複数…

誘拐 本田靖春

初版は1977年で、かなり昔の本になるが最近、ちくま文庫で復刊され、それを買って読んでみた。 吉展ちゃん事件扱った本で、私が物心ついた頃の、最も有名な大事件だった。 身代金目当ての誘拐殺害事件として残忍な犯罪だが、改心してからの犯人小原保を見て…

裁かれた命 死刑囚から届いた手紙 堀川恵子

子供の頃には全く書けなかった読書感想文をこうして毎回書いているが、プロの書き手でもない私には実のところ四苦八苦、悪戦苦闘である。 長からず短かからず、冒頭の書き出しからしていつも悩む。 まあ、余談はともかく本題だが、この本は新潮ドキュメント…

切断—ブラック・ダリア殺人事件の真実 ジョン・ギルモア

この事件に関しては映画化もされているらしいが私は見てない。 通称、ブラック・ダリア事件とは1947年1月15日、ロサンジェルスで女優志望のエリザベス・ショート(22)が激しい拷問の末、腰の辺りから胴体を真っ二つ切断、血を抜かれ、両脚を大きく広げたま…

死刑の基準 「永山裁判」が遺したもの 堀川恵子

私には、やや、分不相応な本だとも言える。 著者も言っているが当初、まったく売れなかったとか。 ところが第32回講談社ノンフィクション賞を受賞したことで事情が一変。 確かに優れたノンフィクション作家で、これまで『裁かれた命 死刑囚から届いた手紙』…