居眠り狂志郎の遅読の薦め

喰う寝る読むだけの素浪人です

石原莞爾 マッカーサーが一番恐れた日本人 早瀬利之

かれこれ20年ぐらい昔になるだろうか。 NHKスペシャルで張学良を特集し、何と本人が登場したから驚いた。 まるで浦島太郎に遭遇したような気持ちだったが、キャスターのインタビューに満100歳を迎えた学良は矍鑠とした風貌で記憶も正しく受け応え。 この歴史…

カレーライスの唄 阿川弘之

ポツダム大尉という言葉があるが、ポツダム宣言受諾後に階級を一つ進級させることで、阿川弘之は支那方面艦隊司令部附として終戦を迎え、この、ポツダム大尉として焼野原となった郷里広島に帰った。 その後、志賀直哉に師事して作家になるのだが、本題を前に…

夢二日記〈1(明治40年~大正4年)〉

幕末以降、多くの人の日記が刊行されているが、大別すると二種類に分かれる。 死後、公開されることを想定して書かれている場合と、そうでない場合。 例えば啄木のローマ字日記の中には、他人に読まれてはまずいという記述がある。 女郎相手の話しなので、こ…

幕末維新懐古談 高村光雲

永井荷風はこんなことを言っている。 余裕のない現代人にはけっして承継する事の出来ないそういふ昔からなるつまらぬ職業は、手慣れた其の老人の死と共に永劫この世からはなくなって仕舞ふのである。 江戸情緒をこよなく愛した荷風散人らしい言葉だ。 おそら…

戦前の昭和を探して! 大阪中崎町

すっかり変わってしまった世の中 いつの時代も見続けて来ました 二度と戻って来ない昭和や 帰り来ることのなかったあの人も 築年数は忘れましたが みんなが生きていたあの頃を私は知っています 郷愁を探し求めるアナタ さあ、この扉の中で新しい思い出作りを…

血盟団事件―井上日召の生涯 岡村青

自分で選んどいて何だが、まったくストレスの溜まる本だった。 昭和初期の歴史書には必ずと言っていいほど登場する血盟団事件と井上日召。 とにかく、この人物を紐解くには少なくとも大正期の米騒動から五・一五事件までの世相を知る必要がある。 私にとって…

黙って行かせて ヘルガ・シュナイダー

ナチ戦犯の中でも取り分け悪名高い人物として有名な医師、ヨーゼフ・メンゲレは アウシュビッツ収容者から「死の天使」と言われ恐れられていたが戦後、忽然と姿を消す。 イスラエル諜報機関は必要にメンゲレを追うが、メンゲレは追跡を逃れ1979年、海水浴中…

帰ってきたヒトラー 下 ティムール・ヴェルメシュ

う~ん・・・、何と言うか! とにかく、この小説は読むより映画で見た方がいいと思う。 そう簡単な作品とは思えない。 600頁近い大作で全編、ヒトラーの独白と言っていい。 それも政治哲学的な話しが専ら。 現代に現れたヒトラーは徹底的に「オレ文脈」での…

帰ってきたヒトラー 上 ティムール・ヴェルメシュ

ここ最近、評伝やノンフィクションばかり読んでいるので、たまには毛色の違ったものをということで選んだ本だったが。 何でも本作は空前の大ベストセラー小説で、42言語に翻訳され250万部を売り上げた作品で映画の観客動員数も240万人。 ということで上下巻…

沖縄の島守 内務官僚かく戦えり 田村洋三

發 沖繩根據地隊司令官 宛 海軍次官 沖繩縣民斯ク戰ヘリ縣民ニ對シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ 自決を一週間後に控えた昭和20年6月6日夜、沖縄の海軍司令官大田実少将が海軍次官に宛てた電文は世界史にも類例を見ない悲痛な名文として名高いが、今日、太…

拙者は食えん! サムライ洋食事始 熊田忠雄

別に戦後の食糧難の時代に生まれたわけでないのだが、我が家は比較的貧乏な家柄。 その所為もあって私がトマト、納豆、フキなどを初めて食したのは小学校も5年になってからのこと。 特に驚いたのは納豆だった。 あまりの臭さに、これはウンコの類ではないか…

海軍大将加藤友三郎と軍縮時代 工藤美知尋

明治日本では薩摩の海軍、長州の陸軍などと言われるが、日清戦争時の内閣と陸海軍の主要人事を見ると以下の如くになる。 総理伊藤博文(長)外務陸奥宗光(紀州)。 陸軍は陸相大山巌(薩)次官児玉源太郎(長)川上操六(薩)山縣有朋(長) 野津道貫(薩)…

SHONAN逍遙―文豪たちが愛した湘南 桝田るみ子

以前泊まった藤沢の宿で貰ったマップに明治以降、如何に多くの著名人がこの辺り一帯に別荘、または家屋敷を構えていたか、その多さを知って驚いた。 広田元首相の妻静子さんが自害した広田家別邸、芥川、白樺派の逗留地、東屋などは鵠沼にあり、茅ヶ崎には団…

最高殊勲夫人 源氏鶏太

私の最近の読書傾向と言えば専らノンフィクションか伝記評伝の類。 推理小説やエンターテインメント系の本はあまり読まなくなってしまった。 ある面、堅苦しいったらありゃしない。 そこで閑話休題のように時折、手にするのがちくま文庫なのである。 まるで…

ハリス 日本滞在記 下

苦心惨憺読了、どうもこの本は学術的色合いが強い日記で一般向けではない。 しかし、そこはそれなり、ハリスが洞察する日本の国状や人となりは理解できたと思う。 さしずめハリスの観察はと言うと、一見、幸福そうに暮らしている庶民を見て! 私は時として、…

ハリス 日本滞在記 中

私が、初めて伊豆の下田に降り立ったのは確か昭和60年の夏だと記憶するが、一週間ばかり仕事で行ったのを皮切りにすっかり当地を気に入り、以来、何度となく足を運んでみた。 二度目の訪問は観光で、偶然にも黒船祭りの時期、米軍の軍楽隊演奏を中心に市内は…

ハリス 日本滞在記 上

実に重々しい本だ! 何しろ註釈が凡そ半分はあるかと思うほどで尚且つ文字が小さく旧漢字で書かれている。 古書店で見つけ先客が手に取ってペラペラ捲っていたのを目撃。 なかなかお目に掛かれない代物だけに相手が買わなければ即買いと思っていたが運よく我…

裏長屋

行水や美人住みける裏長屋 昔から美人は裏長屋に住んでいるもんだと言いますが残念ながらお目に掛かれませんでした(笑 大正や明治の頃ならさしずめこんな感じでしょうか。 粋な黒塀 見越しの松に 仇な姿の 洗い髪 大きく開いたうなじを背に長い黒髪を束ね、…

よみがえる 松岡洋右 福井雄三

東京裁判の公判中、検事が東條英機に対しこんな質問をする場面がある。 「貴方は、弐キ参スケという言葉を知っているか?」 「はい、知っています」 戦前、弐キ参スケと言えばあまりいい印象が無かったようだ。 東條英機 関東軍参謀長 星野直樹 国務院総務長…

裸はいつから恥ずかしくなったか 中野明

比較的有名なこの絵を一度ならず見たことがある人もいると思う。 作者はドイツ人画家ヴィルヘルム・ハイネ。 ペリーの日本遠征に随行画家として1854年に下田にやって来た。 その時に描かれた所謂、「下田公衆浴場図」は合衆国政府に公式文書の記録として提出…

芥川龍之介―長篇小説 小島政二郎

嵐山光三郎は「文士の伝記はまず、死がその前提にある」と言っているがまさにその通り。 または「小説家の死は事件であるとも」。 これまで数多くの文士に関する伝記・評伝の類を読んできたが中でも一番多いのは太宰に関するもの。 太宰と関係した3人の女性…

夢声戦争日記〈第7巻〉昭和20年

全くの偶然だが、以前、フォローしているTwitterの人のつぶやきを読んでいたら、古書市で『夢声自伝全三巻』を購入と書いてあった。 調べてみると昭和53年に講談社文庫から出ているらしいが、三巻で約1400頁ほどあるようで実に悩ましい。 私も何処かでこれを…

夢声戦争日記〈第6巻〉昭和20年 (後編)

ブロガーというのは決して仕事ではないが、こう毎日、記事を書いていると、疲れもするが、それはそれなりに楽しい。 しかしながら所詮は素人の域を出ないのであって文章の作成には苦労が絶えない。 そして今日も、まるで何かに憑りつかれたように書かねばな…

夢声戦争日記〈第6巻〉昭和20年 (前編)

さてと、全く苦心惨憺、何とか第6巻を読了。 今回は昭和20年1月から6月まで。 しかし、この本、実に読み辛い。 何しろ夢声先生、どういう訳か文章の送り仮名を平仮名とカタカナの両刀使い。 さらには死語となっているような漢字にルビも振ってないという始末…

夢声戦争日記 第5巻 昭和19年 (下)

夢声戦争日記、第5巻は19年7月から12月までの記述ですが、どうなんでしょうか、 10月頃まではのんびり生活しているようにも思えてしまうのですが。 当然の如く、同時代に書かれた日記などでは政治家は政局や国際情勢を、軍人は戦況を書くわけですが、我等が…

夢声戦争日記〈第4巻〉昭和19年 上

夢声日記、第四巻は昭和19年元旦から6月までなのだが、長編日記を読むと言うの些か難儀なものである。 ではと、この時期、戦火はまだまだ本土からは遠く、夢声は日々仕事に追われ、各地を慰問旅行しているばかりで、戦況の様子は分かりにくい。 既に食料難の…

夢声戦争日記〈第3巻〉昭和十八年

さて、第三巻である。 はっきり言って民間人の日記を読むというのは、あまり面白い作業とは言えない。 ひとつには知らない人が無数に出てくることにもある。 戦時中ということを考えれば軍人や政治家の日記の方が戦況や政争でこちらも一喜一憂するが、いくら…

夢声戦争日記〈第2巻〉昭和17年 下

さて、夢声戦争日記第2巻は昭和17年7月1日から始まる。 しかしである、徳川家では一向に戦争の気配が感じられない。 前編はまるで「夢声菜園日記」と見紛うような書き出しで、花が咲いた、アオガエルが来た、子供がトンボを捕まえたと何の変哲もない。 事態…

夢声戦争日記〈第1巻〉昭和16年・昭和17年 上

全七巻に及ぶこの日記は開戦当日から始まる。 著者は日清戦争が始まった明治27年生まれで、10年後の日露戦争、更に10年後の 第一次大戦、そして満州事変、日華事変、太平洋戦争と私たちの世代と違って戦争の表も裏もうんざりするほど見て来たと言っている。 …

第四師団司令部跡

誰も居ませんね! 静まりかえっています。 いや、そんなことはないです。 私の後ろには道行く人でいっぱいですが、誰もこの建物には関心を払いません。 何でしょうか、これは! 実は私、どうしてもこれを見たかったわけで。 そうなんです、第四師団司令部で…