居眠り狂志郎の遅読の薦め

喰う寝る読むだけの素浪人です

松井石根と南京事件の真実 早坂隆

う~ん、実に重いテーマの感想文を書くということは一介のブロガーとしては気が重く疲れる。 「歴史は繰り返さない。ただ、韻を踏むだけである」 という言葉があるそうだが私には解ったような解らないような。 まず単純に思うことはアメリカが行った大都市に…

ヴァレンヌ逃亡 マリー・アントワネット 運命の24時間 中野京子

フランス革命勃発というのは1789年7月14日、バスティーユ監獄の襲撃を持って起こり、その後、ルイ16世とマリー・アントワネットは断頭台の露と直ぐに消えたわけではないんですね。 幕末維新には詳しい私ですがフランス革命からナポレオンの登場という混乱期…

永訣の朝 樺太に散った九人の逓信乙女 川嶋康男

そう言えばこの本を読んでいて長く忘れていた『氷雪の門』という映画のことを思い出した。 調べてみると1974年というからもう40年以上も前の映画になる。 即ち、昭和20年8月20日、実際に起きた事件の映画化というわけで、本書はその日、何が起きたのかを詳細…

ベルニーニ

ベルニーニは17世紀に活躍したバロック芸術の巨匠。 まあ、驚くべき天才児で「ベルニーニはローマのために生まれ、ローマはベルニーニのためにつくられた」と賞賛された程で古代遺跡が残る古き都ローマは彼の手によって、壮大なスケール、絢爛豪華な装飾にあ…

ゴッホとロートレック 嘉門安雄

ロック界には昔から「27クラブ」というのがあるが、画壇には「37クラブ」というのがあるのだろうか。 ラファエルロ、カラヴァジョ、ヴァトー、ゴッホ、ロートレック、モディリアーニ、そして日本では菱田春草、今村紫紅。 モディリアーニと今村紫紅の36歳を…

湯河原襲撃 河野司

何につけ軍人に関するノンフィクションや伝記は時に気が重い。 この本も以前古本屋で買ったはいいが中々読む気にならず暫く放っておいた。 実に50年以上も前に発売されたもので初めて見た本だった。 私の所蔵本に、ニ・ニ六事件に関係した全青年将校らの手記…

バーボン・ストリート・ブルース 高田渡

私が記憶する限り子供時代の音楽番組といえばクレージーキャッツとザ・ピーナッツ 主演の『シャボン玉ホリディ』か、坂本九、弘田三枝子、坂本スミ子、黒柳徹子らが出演していた『夢で逢いましょう』ぐらいしか知らない。 『シャボン玉ホリディ』の音楽監督…

泳ぎたくない川 愛川欽也

日本人にとって愛川欽也という人は最も親しまれた司会者だったと言っても過言ではない。 『11PM』『なるほど!ザ・ワールド』『アド街ック天国』など長寿番組の顔として知られると共に俳優としても大いに活躍した人生だった。 芸能界には『9年会』なるものが…

春画にみる色恋の場所 白倉敬彦

江戸期という時代は現在のように住環境が整っていないためか、色恋に関しかなり抵抗感がなかったように思われる。 開けっ広げとまでは言わないが性風俗にはかなり寛容だ。 誘うのはいつも男とは限らず大店の女将などは奉公人などを捕まえては楽しんでいた。 …

千恵蔵一代 田山力哉

最近の人は多羅尾伴内なんて言っても殆どの人が知らないと思うのだが、では片岡千恵蔵と言えば誰のことやら名前と顔が一致するだろうか。 いくら大スターといっても明治生まれでは知る人ぞ知るとなってしまうのか。 俗に時代劇スターの七剣聖と言われた華や…

佐伯祐三の晩年 衝撃の真実 白矢勝一

本書は佐伯祐三の伝記本ではなく、歿後、佐伯と共にフランスで過ごした友人たちが佐伯の死をどう書き残したかを照合し、何が真実なのかを追及した眼科医の論文のような本になっている。 『衝撃の真実』なんていう陳腐なタイトルは嫌いだが、いったい佐伯祐三…

心にナイフをしのばせて 奥野修司

「酒鬼薔薇」事件を溯ること28年前の昭和44年4月23日、神奈川県川崎市で起こった頭部切断事件。 被害者は私立高校の1年生。 加害者は同級生の少年で鋭利な刃物で全身47ヵ所をめった刺しにして殺害、事件の一部始終を見ていた人からの通報で少年Aはあえなく逮…

あひる飛びなさい 阿川弘之

本題を前に米内光政と言えば海軍大将にして総理大臣まで務めた国家の重臣で終戦時、鈴木内閣の下で海軍大臣を務め阿南陸相と激しく対立した人物として知られている。 その『米内光政』の伝記本を書いたのが同じ海軍の後輩で所謂、ポツダム大尉と言われる阿川…

下足番になった横綱―奇人横綱男女ノ川 川端要寿

今迄、自称好角家を名乗って来たが、いやはや、全くの勉強不足を痛感させられた1 冊で、第三十四代横綱男女ノ川(みなのがわ)の存在、全然知らなかった! 何でも、あの大横綱双葉山に稽古をつけてやったのが男女ノ川と聞いてはなお一層興味が湧く。 横綱昇…

乳と卵 川上未映子 

この作品を芥川賞に持ってくるところが選考委員会の御目が高いところなのか私の御目が低いところなのか悩ましい。 改行なしで読点によって区切られ延々と続く文体は情景描写なり思考の連続なりで会話というのが殆どない。 豊胸手術を受けることに悩み続ける…

デヴィッド・キャシディ

昨夜、何気なくネットを見ていたら思わぬ死亡記事を見つけ驚いた。 70年代初期、日本でも人気を博していたアメリカのテレビドラマ『パートリッジ・ファミリー』の主役、デヴィッド・キャシディが去年11月21日に67歳で亡くなっていたとある。 昔から特別アイ…

妻と飛んだ特攻兵 8・19満州、最後の特攻 豊田正義

人間、誰だって死にたくはない。 がしかし、時に命を懸けてでも守るべき事態が招来することもあり得る。 敢然とそれに立ち向かう勇気、この本は、そんな日本人を描いているように思う。 終戦後の8月19日、関東軍総司令部の命令でソ連軍に対し完全武装解除と…

ヘミングウェイの流儀 今村楯夫 山口淳

私の父は生前、ゲーリー・クーパーのファンで、とにかくクーパーの話しが大好き。 そのクーパーが前立腺癌で亡くなったのが1961年5月13日、60歳だった。 それを聞いた親友のヘミングウェイの落ち込みは相当なもので、同年7月2日に猟銃自殺している。 遺書も…

ハルビンの詩がきこえる 加藤淑子

著者、加藤淑子とは加藤登紀子の母で1915年生まれ。 私の父より一歳年長で共に大陸で終戦を迎えている人。 以前、紹介した『流れる星は生きている』の作者で新田次郎の妻、藤原ていは18年生まれ、夫次郎は12年生まれ。 ソ連参戦を聞いた時、加藤淑子はハルビ…

萩原朔太郎『郷土望景詩』 幻想 司修

司修、あまり知らない人だが経歴を見ると昭和11年生まれで小説家、画家にして法政大学名誉教授という肩書を持っている。 この本は詩画集として萩原朔太郎の詩に司さんの幻想的な挿絵でなり立っているが、朔太郎の詩をイメージして書かれた絵というわけではな…

ナタリー・ウッド事故死で再捜査

おそらく007の影響かと思うが1960年代後半あたりから、日本でもアメリカのテレビドラマでスパイものが大流行。 『0011ナポレオン・ソロ』『スパイ大作戦』『スパイのライセンス』など毎週見ていた。 その『スパイのライセンス』で主役を務めたロバート・ワグ…

毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記 北原みのり

一般的に毒婦というと、まず思い浮かぶのは高橋お伝と阿部定ということになるか。 しかし最近、平成の毒婦と言われる女性が二人も登場した。 片や青酸カリを飲ませた連続殺人事件の筧千佐子容疑者、そしてこの木嶋佳苗。 婚活詐欺とでも言うのか短期間に複数…

真珠湾の不時着機 牛島秀彦

「九軍神」の話しを聞いたことがあるだろうか。 日米開戦の先陣を切って乗り込んだ5隻の特殊潜航艇。 真珠湾近郊で9人が戦死、それが「九軍神」として戦時中、高らかに祭り上げられたが潜航艇は2人乗り。 あとの一人はどうなったのか? その人物は捕虜第一号…

アンドリュー・ワイエス~海からの風

詩は最高の芸術だと言った人がいるが、本当に言の葉を紡ぐということは難しい。 その変わり私が体得した方法は言葉を忘れるという感情。 www.youtube.com これは絵画であって写真ではない。 信じられない! そう、最高の芸術の持つ奥深い神秘は、いつも信じ…

クリムト―世紀末の美 講談社文庫―文庫ギャラリー

1860年生まれの作曲家、グスタフ・マーラーと1862年生まれの画家、グスタフ・クリムト、その両者と深い関係になり、結果的にマーラーと結婚した女性がアルマ・シントラー。 と言っても私はまったくこの女性を知らない。 クリムトと言えば絢爛豪華な金粉作り…

夫・遠藤周作を語る 遠藤順子

私が遠藤周作さんを読んでいたのは、思い出すにおそらく昭和49年頃ではなかったかと思うが、どうもはっきりせぬ。 五木寛之と交互に読んでいたことは確かなのだが。 しかしキリスト教を扱った純文学ではなく大衆文学的なものばかり読んでいた。 例えばこんな…

老いの道づれ―二人で歩いた五十年 沢村貞子

沢村貞子と聞いて、すぐ顔を思い浮かべれる人は、やはりある程度の年配者なんだろう。 明治41年生まれの貞子の家系は芸能一家で、兄は四代目澤村國太郎、弟は加東大介、甥に長門裕之と津川雅彦がいる。 貞子本人は数多くの映画やドラマに出演したが、名脇役…

大日本帝国最後の四か月: 終戦内閣“懐刀”の証言 迫水久常

著者、迫水久常の名は今日、一般にはどれだけ知られているのか知らないが、終戦秘史をテーマにした本には欠くことのできない人物として広く認知されている。 鈴木内閣の内閣書記官長でいわゆる「玉音放送」を起草した人物の一人でもあり、時代の証言者として…

女優 瀬戸内晴美

既に絶版になっているが女優の嵯峨三智子がモデルだと知って読んでみる気になった。 嵯峨三智子は山田五十鈴のひとり娘で92年に病没しているが彼女の作品は、おそらく一本しか観ていない。 雷蔵と共演した『影を斬る』で、これがなかなかに面白い。 夫の雷蔵…

1918年最強ドイツ軍はなぜ敗れたのか 飯倉章

まず最初に表紙の写真を見てほしい。 上段左からヒンデンブルグ、右、モルトケ、下段左、ルーデンドルフ、右、ファルケンハイン、何とも厳めしい顔つきというか威厳に満ちている。 凡そ100年前の独逸軍人で欧州大戦ではモルトケ、ファルケンハイン、ヒンデン…