居眠り狂志郎の遅読の薦め

喰う寝る読むだけの素浪人です

宇喜多の捨て嫁

下剋上と聞いて誰を思い浮かべるかと言えば、まず、斉藤道三と毛利元就だろうか。 その道三、かれこれ40年程前のこと、首が埋まっているという道三塚を見に行ったことがある。 長良川河畔での戦いで息子の義龍に破れ首を取られた。 対する元就は生涯を戦に明…

橋本関雪邸の丸石

今年の3月だったか、京都にある日本画家 橋本関雪(1883~1945)の旧宅に行った折り、広大な庭園を散策していたら、こんな平ぺったい大きな丸石を見つけた。 何だろうと思い近づいても意味がよく分からず? 振り返ると、縁側にはこのパネルが! よく見ると、…

かの子繚乱

瀬戸内寂聴という人は伝記文学の名手だ。どの本を読んでもこちらをぐいぐい引き込む。この『かの子繚乱』も傑作の一つだろう。 昭和の30年代だと記憶するが文豪谷崎に会いたいがため、舟橋聖一に仲介を頼んだと何かで読んだが、その谷崎の学生時代、同級生に…

T-SITE

我が街から文化が去って数年の時を経た。 文化! 何も大仰なことを言っているのではない。 唯一の書店とCD屋が撤退してしまったのである。 ブックオフなどさらさら無く、文化空洞化現象の街になって仕舞った。 だから休みを利用して行って来た。 丸ごと文化…

ロンドン狂瀾

568頁もある弁当箱サイズの単行本、時間もかかり、かなり疲れた。 期待と意気込みだけではなかなか読み切れないので、義務感で突破するしかない。 通常、この問題は昭和前期の歴史として重要な課題なのだが、殆ど省略されて、一頁ほどで済まされることが多い…

村山たか女創建の弁天堂

長野主膳、島田左近と言っても今日では知る人も少ない。 大老・井伊直弼の家臣として暗躍したが攘夷派から憎まれ大老暗殺後、長野主膳は斬首、島田左近は木屋町二条で殺害された。 その、井伊直弼との関係では外せない人物、それが村山たか女だ。 女性という…

殉愛 原節子と小津安二郎

本来なら『純愛』と書くのが通常だが敢えて『殉愛』と表記するところに意味深なもを感じる。 並々ならぬプラトニックな愛が存在するかのようなタイトルだが、果たして本当のところはどうなんだろうか。 殉愛とは愛に殉ずるということからして、余程深い思い…

ハリス 日本滞在記

先日、古書店で見つけた『ハリス 日本滞在記』、ハリスが日記を付けていたことは何かで読んだことがあるが、岩波文庫から出ているとは知らなかった。 上・中・下巻で3千円もするが出会ってしまっては買うしかないと諦めた。 3巻で約900頁、註釈付きでやたら…

帯に桑田氏、襷に長し

古書店のワゴンセール、100円コーナーの中にこんな本が❗ 帯に注目、何と桑田佳祐の写真が。 30年程前だろうか。 知らなかった。

風草の道 橋廻り同心・平七郎控

私にとって歴史小説作家と言えば司馬遼太郎、吉村昭、海音寺潮五郎で、時代小説作家は山本周五郎、池波正太郎、藤沢周平というところか。 テレビ、映画を問わず時代劇は昔から好きで『必殺仕事人』『大岡越前』『遠山の金さん』『鬼平犯科帳』などをよく見て…

昭和51年『火宅の人』がベストセラーになっていた頃の事をよく記憶している。 しかし、この小説が出るまで檀一雄という作家のことは知らなかったと思う。 私はまだ若く、明治生まれの作家が次々に世を去る瞬間を無為に過ごしていた。 『火宅の人』は完成まで…

ノモンハン秘史 新書版

昭和陸軍に無数に存在したはずの将校団で、今日、その名を世に知らしめている軍人は意外と少ない。 東條大将を除けば、石原高級参謀と辻参謀の名は戦史に刻まれ永久に語られる人物として名高いものがあろう。 今回読んだ本の著者は、関東軍時代の辻政信が少…

阪神 夏の古書ノ市

今年も行って来ました、梅田の『阪神 夏の古書ノ市』へ。 毎度のことながら腰痛を抱え会場をくまなく見るのはやや辛いが、これも趣味の一環ゆえ、致し方ない。 素早く、短時間で読みたい本を探し出し、そそくさと帰ってきました。 あまり積読本を溜めたくな…

ケス 鷹と少年

時に外国文学というのは、いくら絶賛されていても、どうした訳か私には何ら響かないことが多々ある。 偏に、読み手の私の技量不足と諦めているのだが、今回の本、1968年に出版されるとたちまちベストセラーになり、翌年に映画化され、これまた大評判になった…

九月が永遠に続けば

本書はデビュー作にして第五回ホラーサスペンス大賞受賞作で著者56歳の作品。 解説者はこのように書いている。 無論、どの賞も建前としては作者の年齢などは考慮しないことになっているけれども、現実には作者の年齢、筆歴などは多少評価に関係してくるもの…

火花

研ぎ澄まされた感性というのは高価な濾過器みたいなものだろう。 飲むに値する清涼飲料水を常に提供するだけの装置を兼ね備えているわけだが、これが芸術家の濾過機となると、清濁併せ呑ませる奇怪な濾過機を必要とするから一般販売はしていない。 才能が濾…

死の棘

それもこれも、梯久美子が去年出版した大著『狂うひと ─「死の棘」の妻・島尾ミホ』を読むというミッションに駆られたことに他ならない。 『妻への祈り - 島尾敏雄作品集』『海辺の生と死』と読んで、 今回が第三段『死の棘』ということになる。 しかしまだ…

ハマクラの音楽いろいろ

私の場合、物心付いて最も古い記憶のヒット曲と言えば守屋 浩の『僕は泣いちっち』だろうか。 ちょうど、『ダッコちゃん』『フラフープ』が爆発的人気を誇っていた第1次池田内閣時代のことで、当然のことながらテレビに出ている人だけが有名人で作曲者のこと…

「南京事件」を調査せよ

好むと好まざるとに関わらず、結局、盧溝橋の一発が民族的対決を誘発してしまい、後世、おそらく永久に結論の出ない不毛の論争を招く結果になってしまった。 お隣の中国では「あった」と一貫していることが、我が国では結論が定まらないまま左右両陣営がいが…

末の末っ子

昭和ファミリー小説の決定版とあるが確かに面白い。 まず、タイトルがいい! 『末の末っ子』、つまり予定外の妊娠出産だったというわけだ。 阿川弘之氏には三男一女の子があり、その三男誕生が51歳の時とある。 まるで孫のような年齢差の子供が産まれ、周囲…

ゲーテさん こんばんは

文豪ゲーテなんて知らないもんね~! ショーペンハウアー、カント、パスカル、シラー、ハイネ、な~んにも解りません。 だから、私も訪ねてみたくなった。 「ゲーテさん こんばんは」 そして、話しを訊いてみた。 だが、やっぱり解らなかった。 ただ、天才は…

サザンオールスターズ 1978-1985

世に音楽評論を生業にしている人がどれだけ存在するか知らぬが、ひとりのアーティストにスポットを当て、生涯に残した全作品の解説レビューを書くなどという離れ業をやってのけた人といえば、少なくとも私個人としては先年、お亡くなりになった中山康樹さん…

辻潤の愛 小島キヨの生涯

大正時代、新宿で中村屋というパン屋を営んでいたといえば相馬黒光夫妻のことだが、その相馬夫婦に支援を受けていた夭折の天才画家が中村彝(つね)である。 中村の代表作は盲目のロシア人を描いた『エロシェンコ像』だが、彼もまた相馬夫婦の支援を受けてい…

もっと知りたい ミュシャの世界

私にとって好奇心の対象となる人物、それは、何を残したかというよりは、どう生きたかという方に重点が置かれる。 そういう意味では大芸術家ゲーテも乞食行脚の辻潤も同列と考えている。 で、今回の対象者はアルフォンソ・ミュシャだが、この一見、男だか女…

上海

織田 作之助 昭和22年1月10日 横光 利一 昭和22年12月30日 菊池 寛 昭和23年3月6日 太宰 治 昭和23年6月13日 この時期、文壇はたった1年半年足らずの間に4人もの流行作家を亡くしている。 しかし今日、織田作、菊池 寛、太宰 治の再燃はあっても横光利一ブー…

梨本宮伊都子妃の日記―皇族妃の見た明治・大正・昭和

久々に大阪天満にある天牛書店に足を運んでみた。 流石に大阪随一の古書店だけあっていつ行っても客は多い。 私が見るコーナーは毎度決まっていて文庫本全般、歴史、戦記、伝記、評伝、美術、映画、文壇史や日記といった類。 追い遣るように背表紙を見ていく…

アルフレッド・ドレフュス「獄中日記」

南米仏領ギニア・デヴィルズ島と聞いてピンときた! 映画『パピヨン』の舞台となった悪名高いあの島だ。 73年、スティーブ・マックイーン主演映画のラストシーンが蘇る。 ナポレオン3世の第二帝政期、政治犯を収容した悪魔島で、終身禁固刑のドレフュス大尉…

滝田樗陰 - 『中央公論』名編集者の生涯

長い間の懸案がやっと解決したような気分だ。 あくまでも仮定の話しだが、もし私に文才あらば日本文壇史なるものを書きたいと永年、夢想して来たが、さて、肝心の主役は誰に据えるのか、一向に定まらぬまま月日だけを空費させて今日に至った。 暗中模索の数…

慟哭の海 - 戦艦大和死闘の記録

以前、NHKの『その時歴史が動いた』で戦艦大和を扱った番組があったが、ゲストの半藤一利さんが、大和沈没の場面を見て。 「悲しくなりますね」 と言っていたのが印象深い。 本当に悲しくなる。 吉田満さんの名著『戦艦大和ノ最期』に有名な場面、兵学校出の…

君の膵臓をたべたい

テレビ欄や本の帯などで最近よく目にする「必ず」というフレーズ。 曰く。 「必ず泣ける本」 「必ず泣ける映画」 「必ず泣ける曲」 そう聞いただけで引いてしまうのは年齢の所為なのか性格なのか。 私は、この歳になるまで小説で泣いたことは3回しかない。 …

同日同刻―太平洋戦争開戦の一日と終戦の十五日

あの日、あの時、何が起きたのか、各人各様の立場から記録に残った断片を繋ぎ止めて行く作業を地道に続けた結果が、この本ということだろうか。 少なくとも、この手の本を編むということは日本人としてどうしても知りたい事柄が私と一致しているとも言える。…

戦国武将の健康カルテ

戦国時代の武将の死というと戦死、暗殺、毒殺、自害、討ち死になんていうイメージが強いように思うが、やはり圧倒的に多いのは病死でこの本読むとよく分かる。 当然のことながら乱世に生きる武将の生涯はストレスとの戦で、それは現代人とはまた異なる過重な…

不屈の横綱 小説 千代の富士

あれは、いつの事だったか? 30歳を少し出た頃だと記憶するが、その日、名古屋栄町のとあるホテルのラウンジでコーヒーをひとり飲んでいた。入店した時には気付かなかったが隣の席に大鵬親方が座っているのを見て驚いた。お連れさんが二人、おそらく奥さんと…

ヒトラーの裁判官フライスラー

大体からして私にナチズムの法理論などが解るはずがない。 では、何故読むのか! そこに山を見つけたからである、などと言えばカッコいいが、それほど能力もない登山家だが欲だけは一丁前だから困る。 しかし、どんな山を登るにも体力は必要。 更に独学素人…

九十歳。何がめでたい

もし、自分で母親を選ぶことが出来るとするならば佐藤愛子と答えるかも知れない。 私の父は大正5年生まれなので12年生まれの愛子さんとは釣り合いも取れる。 夫婦であってもおかしくない年齢差だ。 だが、実際の母子となれば喧嘩ばかりしてただろうか。 しか…

鉄の首枷 - 小西行長伝

一般的に過去を題材にした作品を書く人は歴史小説作家と時代小説作家に区分されると思っていたが解説者によると史伝作家と呼ばれる分野もあるらしい。 初めて聞いた! 徳富蘇峰、山路愛山、森鴎外、海音寺潮五郎、大岡昇平、吉村昭らが該当される作家だとい…

危機の外相 東郷茂徳

書棚を見ている。 外務大臣経験者の本を過去、何冊読んだか? 陸奥宗光 大隈重信 加藤高明 小村寿太郎 幣原喜重郎 犬養毅 斎藤実 広田弘毅 野村吉三郎 松岡洋右 東郷茂徳 重光葵。 他に首相が一時、兼任している場合もあるので。 伊藤博文 西園寺公望 山本権…

わが町・青春の逆説

大雑把に言うなれば新潮文庫と岩波文庫の違いはこうなるか! 新潮は自然淘汰文庫、岩波は復刊復刻文庫。 平たく言えば新潮は読まれなくなった本は容赦なく切り捨てられ岩波は切り捨てられた近代文学の復興に努めている。 そういう意味では確かに岩波の価値は…

どこかでベートーヴェン

中山七里だろうが箱根七里だろうが拙者のあまり預かり知らぬ作家なのだが、これまでに2冊の関連本を読んでいる。 ピアニストの岬洋介が難事件を解決する『さよならドビュッシー』と『いつまでもショパン』だが、この作家、よほどクラシックの造形が深いのか…

山下清の放浪日記

義務教育時代の九年間、どちらかと言えば落ちこぼれ的な存在だった私に幾ばくかの慰めと安らぎを与えたものは遠足と社会見学だった。 今一つに音楽鑑賞もある。 とにかく時間内に大人しく音楽を聴いているだけでいいのであるからして、これほど楽な授業もな…

本日は、お日柄もよく

昨今、よく聞かれるところの「お涙頂戴」ありきのキャッチコピーは、どうも違和感を覚える。 「涙腺崩壊」「号泣」「涙がとまらない」 まあ、それはいいとして今回の本、最近、よく聞く作家名なので、どんな本を書く人かと一読してみたのだが、『本日は、お…

黒の画家フランシスコ・ゴヤ

私にとっては少し難しい本だった。 美術史は専門外だがゴヤが生きた時代には一方ならぬ興味がある。 スペインの独立戦争などをどう見ていたのか、ゴヤに付いてはもっと勉強したいという欲求が湧いてきたが果てさて今後どうするか。 ゴヤは47歳以降82歳で死ぬ…

幸せなひとりぼっち

外国文学を読むにあたって、一番の問題となるのは訳者との相性かと思う。 今回の本、スウェーデン文学らしいが、過去、スウェーデンの小説なんか読んだことがあったかどうか! 日本でも多くの人に読まれ映画化もされているらしいが、どうも私にとっては感動…

ひろしま美術館

私が美術の本を読んでいるからと言って、決して絵画に開眼した訳でもなんでもない。 まあ、簡単に言えば、ただ何となくといったところだ。 結局のところ、それほど他意があるわけでもなし、読み終わっても大抵の感想は「ふん・・・、なるほどね!」と言った…

世界史から「名画の謎」を解く

私にとって芸術とはシェフと料理の関係のようなものだ。 出された料理が美味ければ美味いほど、その料理人に対して興味が湧いて来る。 一体、どのような修行を積んで来たのか。 生い立ちは、人生は、そして何故死んだのかなど興味は尽きない。 芸術愛好家な…